第68話
ちょっと短め。
コボルトの討伐部位を回収し、死体を焼いて処理をすると、ローレンとシャリアートは討伐部位を山分けにする。それを少しだけ羨ましそうな横目で見る剣士風の冒険者がやや鬱陶しいが、ローレンは完全に無視している。
「(おい、あいつ討伐部位欲しさに後から参戦しようとして間に合ってないうえに、2人の討伐部位を物欲しそうな目で見てるぜ)」
「(うわ、マジかよ。それって冒険者としてどうなんだ?いや、そもそも人としてどうだ?)」
「...お、お前たち!聞こえているぞ!」
「聞こえるように言ってんだよこのトンチンカン!」
「おまえ、クラムではあんまり見ない顔だったけどどこの者じゃい!」
「う、うるさい!わ、私はこの平和な町をモンスターから守るためにはるばる...」
「その啖呵は昨日ギルドで聞いたわ!お前本当にベテランか!?」
「いやぁ、うさんくさいわぁ。この剣士めっちゃうさんくさいわぁ」
(なんで関西弁になってんだこいつ)
「くっ!うるさい!早く行くぞ!お前らが見張ってなかったせいでモンスターが町に向かっていたらどうするつもりだ!!」
「話逸らしたな」
「逸らしたねえ」
「逸らしましたね」
「逸らしたな」
槍使い2人とシャリアート、ローレンは剣士風の男の後ろ姿を見ながら頷きあった。
「くそ...!こんなはずじゃないなりぃ!!」
剣士風の男が何か言っているように聞こえたが、聞こえないふりをしておこう。
何はともあれ、歩哨を終えて町へと戻りギルドで報酬を受け取ると、すぐに5人は解散して各々散らばっていく。
ローレンは昼食を取るために、町の中心の飲食店が多いエリアへと向かう。何を食べようかなぁ、などと呑気に飲食店を見て回っていると、何やら嫌な視線を感じて振り返る。
(うっわぁ、なんかあの剣士風の男がめっちゃこっち見てる~。あ、気が付いたら目を逸らした。なにそれ!女の子だったらイチコロにされそうな仕草するのやめろ!気持ち悪いから!)
ローレンは地の利を生かして路地へと入り込むと、1分も掛からずに男を巻き、最近できた飲食店へと足を踏み入れる。
店内は落ち着いた雰囲気で、客の男女比が3:7くらいになっている。どちらかというと女性向けの飲食店らしい。
テキトウな席に座ると、店員が注文を取りに来る。とりあえずオススメを頼んで待つこと10分。
この世界の飲食店にしては時間がかかったなと思っていると、店員が料理をテーブルへと並べる。
あっさり系のソースが掛ったステーキと、マッシュホクイモ、ベーコン入りの野菜スープにパン。という結構贅沢なメニューが置かれる。料理と一緒に置かれたお勘定書きの中身を見たくないなと思いつつチラッと確認すると、銀貨1.3枚。昼食にしてはなかなかに高いが、今の時期の冒険者ならそこまで懐に痛い値段ではなかった。
何はともあれ、まずはステーキを一口。噛むと牛肉の旨味がぶわっと広がる、それでもあっさり柑橘系のソースでしつこさをかなり抑えている。
マッシュホクイモ、クラムで大量に採れるホクイモを茹でて潰して作られた家庭料理。それでも流石に人気店、ホクイモだけではなくスライスされた玉ねぎや刻まれたベーコンが入っているし、味付けはやや甘めになっている。女性に人気な理由の一つかもしれない。
ベーコン入りの野菜スープは至って普通な優しい味だ。特にコメントはない。
大満足で店を後にしたローレンは、ダッソーたちがいる鍛冶場へと向かった。
既に昼を過ぎている時間で、ドワーフたちは全員が食休みしつつ雑談しているところだった。
「それでなぁ...おう、ローレンか、とりあえず座れよ」
「あぁ、ありがと」
「そんでよ、試作のライフルがもうほとんど完成してるんだけど、これから試し撃ちしに行かないか?」
「え、もうできてるのか?!」
「といってもまだまだ試作品レベルですけどね。ライフリングもとりあえず刻んでみましたが、僕の腕ではやはりかなりの時間がかかります」
「そうか...じゃあこれから東の草原に試し撃ちしに行こうか」
「そうじゃな!わしも正直楽しみじゃったんじゃよ!」
「そうっすね!自分もっす!」
そのまま10分ほど、ドワーフたちの食休みがてら雑談をしてから5人は東の草原へと向かった。




