第42話
つい先日も来た、白いなにもない空間だ。
あー、またここか。来ることはないと思ってたんだけど。俺死んだのか?
「いえ、生きていますよ。意外にも早く私の加護を使ってしまったので...まぁ、その注意をしに」
あー。あれね、もしかして使い切りって感じ?
「いえ、何度でも使えますが、あまりにも短い間隔で使われると...わかりませんね」
そうか。すまんね、わざわざ。
「お気になさらず。私はあなたを気に入っているのです。少しぐらい贔屓しても誰も文句は言いません」
あー、なんかそう言われるとなんかむず痒いからやめてくれ。
「それは申し訳ありません」
ていうか、もうここには来ないと思ってたんだけど?
「主が、私を神としての務めから解放した後、私の願いを聞いてくれたのです。だから今でも、前と同じように人とのコンタクトが取れるのです」
つまり、魂を転生させることをやめただけか。
「そうとも言う」
そうとしか言わんだろ。それでいろんな人間の観察って感じ?
「はい。老後の趣味ですかね」
んー。あんまりいい趣味だと思えないんだが。それはともかくとして、俺って本当に死んでない?
「大丈夫です。私の加護で今のあなたの肉体は急速に回復しています」
え、なんかチートくせぇ。でも本当にありがたいよ。
「じゃあ、私は他の者も見てきますので。また機会があれば」
ないといいけどな。
視界は歪み暗転する。するとすぐに聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「んぁ。ぐぇぅ。んー」
ローレンはベッドの上で体を起こすと、奇妙な声を上げながら伸びをする。体の数か所、いや数十か所が痛むが、激痛というほどではなかった。
「ローレン、おまえ...」
「...」
ローレンを驚愕の視線で見ているのは、レナートとエリー、それにリンジーだった。
「あ、どうも、お久しぶりですリンジーさん」
「いや、そんなことより大丈夫なのか?」
「えぇ、身体がいくらか痛みますが、今はへいき...」
ローレンは大丈夫だと言おうとした途端、強烈な立ち眩みに襲われる。
「おい、大丈夫か?!」
「あー。はい、ちょっと、なんか急に疲れが」
「そりゃああれだけの怪我を負えば誰だって体が怠くなるだろ。というか今動けてることに驚きだ」
「えぇ、打ちどころがが良かったのかもしれません」
「打ちどころが良いって言い回しは初めて聞いたな」
リンジーはジト目でローレンを睨むが、やがて席を立ち、病室(?)を出て行った。
「兄さん、リンジーさんが助けてくれてんだってよ?」
エリーが説明してくる。どうやらデッドボアにやられた後、リンジーが現れてローレンに応急処置を施し、町まで連れてきてもらったらしい。
「マジか...父さん、エリー、心配かけて悪かった。今はこの通り大丈夫だから、家に帰って母さんと兄さんに心配ないと伝えてくれないかな?」
「あぁ、わかったよ。これから冒険者を続けていくつもりなら、次は命がないと思え。今回は運が良かっただけだ。それを肝に銘じておくんだ」
そう言ってレナートはエリーを連れて出て行った。
あぁ、これからグリシア鉱石の採掘とかあるのになぁ、などと考えながらも、また強烈な疲労感に襲われて、気を失うように眠りについた。
「嘘だろぉ?!」
ローレンはそんな大きな声で目を覚ました。あれからかなり時間が経っているようで、窓の外から朝の陽が差している。
「うっるさ...なんだ...?」
ローレンは辺りを見回すと、そこにはローブの男が驚愕の眼差しでローレンを見降ろしていた。
「こ、こんなに早く傷が治るなんて...ついに私の治癒魔法は境地に達したのか?!」
そんなことを言いつつ、男はどこかへ走り去っていった。
「なんなんだ。もう少し寝かせてくれ」
ローレンはそれを見ても構わずに、至福の二度寝を楽しみだした...
短いけど許してくださいお願いしますなn(以下略




