第41話
リンジー視点です。
まったくなんで最近はデッドボアがこんなに多く出るんだか。クラムの近くの村で目撃情報があったらしく、ギルドからの指名依頼で村へとやって来たわけだ。村の目撃者によると村の近くの森にいるという話だったのだが...3日かけて探しても全くその姿は見当たらなかった。糞やら足跡などの痕跡はいくつか見つけることができたが、その姿だけは見当たらない。そのため、村人たちに危険性がないことを話し、俺はデッドボアの痕跡を辿った。
森から続く痕跡を辿ると、そこそこの速度でデッドボアが移動していたのがわかった。何か急いでいるのだろうか。痕跡は北へと続いていた。クラムから東にある草原地帯の方角だ。
草原へと向かう途中に、デッドボアがやったのだろうか、いくつかの実がなる低木が押し倒されていた。わざわざ倒して食べるほどの大きさの木ではないのだが...
さらに痕跡を追うと、デッドボアが1匹ではないということが判明する。最低でも2匹はいる。
草原へたどり着いた頃、雨が降り出した。雨の中歩くのは体力の消耗が激しいため、キャンプを張り休んだ。
翌日には雨が上がり、晴天の空が顔を出す。だが昨日の雨によってデッドボアの痕跡は途絶えてしまっている。仕方なく痕跡の続く方角へと進むことにした。ここで追跡を諦めては元も子もない。
昼になる少し前、遠くで破裂音が聞こえた。どこかで聞き覚えがある音だ。
破裂音がした方向へと走る。ぬかるんだ地面に足を取られるが、なんとか数分後にはたどり着いた。草原のど真ん中にある岩場だ。
そこには2つの巨体が横たわっており、おびただしい量の血液が水溜りに流れ出している。
そのわきには、見覚えのある少年が。そう、つい先日冒険者になったばかりのローレンが倒れていたのだ。
その近くでは見覚えがあるような、ないような男がローレンの意識を確かめている。
俺はローレンの下へと駆け寄り、声を掛ける。反応がなく、意識はほとんどないようだ。
怪我の状態を見ると...正直言って絶望的だ。
だが、俺がポーションを持っていたのが不幸中の幸いだった。半ば無理やり口からポーションを流し込み、飲ませる。すぐに呼吸は安定し、脈も若干弱いが正常のレベルだ。
その場にいた男2人に状況を説明させる。ローレンはどうやらデッドボアの討伐を受けていたらしい。この歳の少年がたった1人でデッドボアを討伐するということをギルドは受け付けたのか?年齢による差別などしたくはないのだが、経験の浅い若い冒険者に1人で...!
いや、これは俺が言える話ではないだろう。ローレンが自ら望んでやったことだ。俺が責めることはできない。
とにかくローレンを町まで背負う。男たちはデッドボア2匹を荷車に載せて運んでいる。
ローレンは背中で寝息を立てているが、なにか寝言を言っているようだが...彼の名誉のために内容は控えておこう。
荷車を引いている男たちも、なんとかぬかるみに嵌りながらも俺についてきている。流石と言っていい荷車捌きだ。
町まで戻り、ギルドへと向かう。昼間の誰もいない時間帯だ。
ジーンが俺を見て、クエストを達成したのかと笑顔で問いかけてくるが、俺が背負っているローレンを見て、顔を真っ青にする。
慌てているジーンの代わりにリカルドが出てくる。場数を踏んでいる男だけあって対処は早かった。
ローレンはそのまま治癒院、治療施設に送られた。そのあと俺が事情をギルドに説明する。
リカルドは話が分かる男で本当に助かる。ローレンの治療費は今回の討伐報酬から差し引いて立て替えてくれるそうだ。
その後は、2匹のデッドボアの話になる。早く解体しないと腐ってしまうし、解体した後の素材類も早く加工するなり食うなりしないと傷んでいってしまう。ここは俺の裁量ですべての素材を売却するということにした。ローレンが素材を欲しがっているのかもしれないが、今の状況ではどちらにしろ、長い間療養が必要なローレンには無用だ。
それよりもリカルドにローレンが1人でデッドボアの討伐に向かったことについて話した。
結論としては、ローレンはデッドボアを1人で倒せる実力はあった。ということだ、今回はローレンが油断して招いた事態だった。そう結論付けた。確かにそうかもしれないが...いや、これ以上言うのはやめておこう。
自分のギルドから受けたクエストも処理を終え、ローレンのいる治癒院に向かった。
ローレンが寝ている場所に行くと、どうやら彼の父親と妹らしき人物が座っていた。んー、水を差すのもいけないな、また出直そう。そう思ったのだが、その2人に見つかってしまい呼び止められる。
2人にはしこたま礼を言われた。正直言って背中がむず痒くなるレベルだったが、悪い気はしない。
父親はどうやら元冒険者だったらしく、こういうことがあるのはしょうがないと言う。普通だったら今すぐ冒険者などやめろと言うのだろうが、さすが町長の右腕と言われるだけの人物ではある。
などと話していたのだが、驚いたことにローレンが突然に意識を取り戻したのだ。
総合評価が50を越えました。歓喜狂乱しております()読者の皆さん評価、ブックマーク、感想などをいただきありがとうございます。今後も精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします。(_ _)




