第37話
森に入ってから30分も経たずに、ゴブリンを10匹討伐した。これで半分。昼前には目標数に達するだろう。
エリーは1匹のゴブリンを倒すことができたようだ。殺すことへの自責の念に駆られるかとも思っていたが、今のところは大丈夫のようだ。
大量のゴブリンとコボルトの死体を焼いて、森の奥へと進んでいく。だが、今度はなかなかゴブリンたちが見つからない。
と思っていたが、10分ほど歩くと事態は急変する。一匹のゴブリンが近くの木に隠れているのを見つける。周囲を確認すると、立て続けに隠れている複数のゴブリンたちが確認できた。なるほど、待ち伏せか。
「待ち伏せですね。そろそろ来ます」
「えぇ、わかってるわ」
レナもイヴァンも既に気が付いているようだ。冒険者歴はローレンより長いのだから当然ではあるが。
だが、エリーは気が付いていなかったようで、露骨に辺りを警戒し始める。
ちょうどその時、ゴブリンが一斉に突撃してきた。
「ンギャアア」
ゴブリン特有の甲高い声とともに襲い掛かってくる。数は14。いや15か。
ローレンは近くにいるゴブリンから片っ端に撃っていく。
ドムンッ、ドムンッドムンッ
レナとイヴァンも近くにいるものから順に排除していく。さすがの手際だ。
あっという間に残り2匹、勝てないことを悟ってゴブリンは逃げ始める。
「まぁ討伐数超えたから追わなくてもいいk...」
「おりゃああああ!!」
逃げていくゴブリンを後ろから思いっきり斬りつけるエリー。エリーも既に何匹か倒しているようだが、自分の討伐数が足りていないことがわかっているのか、逃げるゴブリンを追おうとする。
が、レナがエリーを片手で止める。
「もう追わなくていいわ。私の討伐数分けてあげるから」
「え、で、でも...」
「いいのよ、今日は初めてのクエストなんだから、あんまり無理しないほうがいいわ」
「は、はい。ありがとうございます、レナさん」
エリーはレナに笑顔で礼を言うと、自分が倒した分のゴブリンの討伐部位を剥ぎ取り始める。
「レナとローレンの妹は仲良さそうだな」
イヴァンがローレンに耳打ちする。一瞬ぞくッとしたが、イヴァンに返答する。
「はい。けっこう内気な性格なんですけど、こうしてレナさんと仲良くしているのを見ると、なんかこう、うれしいですね」
「そうか。お前は妹想いなやつなんだな」
「普通ですよ普通。さっさと剥ぎ取り始めますよ」
ローレンはこっ恥ずかしさを隠しながら剥ぎ取りを始めた。
剥ぎ取りが終わると、また大量の死体を焼く。森の中で死体を焼くは危ないように見えるが、森林火災になることはない。よくわからないが、モンスターの死体は焼くとすぐに灰になるらしく、長く燃え続けることはないらしい。不思議なものだ。
「じゃあ、そろそろ戻りましょう。昼前には戻れそうですね、お昼みんなでどうですか?」
ローレンは町に戻る提案ついでに食事に誘う。全員一致で昼食を食べに行くことが決まると、来た時よりもみんなが早足で町へと向かった。
帰りはゴブリンやその他のモンスターもおらず、おそらく西の森のモンスターはあれでほぼ全てだったようで、しばらく西の森にモンスターは出てこないだろう。
そんなこんなで昼前には町に戻ってくる。そのまままずはギルドへと向かった。
ギルドに入るとほとんど中に人はおらず、ジーンと何人かのギルド職員がいるだけだ。
クラムの町の冒険者の数が元々少ないということもあるが、人が少ないのは昼時だからだろう。この時間帯はほとんどの冒険者はどこかでクエストをこなしているはずだ。
さっそく受付嬢のジーンのところまで行き、クエストの達成を報告する。4人で20匹のゴブリンの討伐。報酬は1人銀貨2枚。なんとも安い仕事だ。それでも町の中で半日仕事をするよりはいい報酬だといえる。
ジーンはこの後みんなで昼食に行くと聞くと、ものすごくうらやましそうな顔で
「いいなぁ!いいなぁ!私も行きたい~!」
などと言っているが、昼過ぎから夕方にかけて忙しい受付嬢がこの時間に抜けれるはずもなく...
というわけで、ギルドから出た4人は以前にローレンとレナが行った店へと向かう。パフェを食べた店だ。
店に入ると昼前ということで客は疎らで、4人が座れるボックス席へと座る。
適当に注文して、世間話に興じる。現代の視点から見れば、中高生が混ざってファミレスで雑談しているように見えるかもしれない。いや、イヴァンだけは中高生というのに無理があるが。
ともかく、4人は和やかな昼食を楽しんでいった。




