第36話
エリー視点です。
私はエリー。今日は冒険者になって初めてのクエスト、ゴブリンの討伐だ。
兄さんとその先輩たちも一緒に来てくれているから不安はあまりない。
さっそく町から出て西の森に向かう。ゴブリンが多く目撃されるようになったという話だった。たくさん一気に出てきたら嫌だな。
森に入るとさっそくゴブリンを2匹見つける。私の手柄だ。それを報告すると兄さんとイヴァンさんが魔法を使う。兄さんが魔法を使えるとは知らなかったから驚いた。
魔法が使われると、空中に風でできた矢が浮かんで、2匹のゴブリンへと飛んでいった。
ゴブリンはそれに全く気が付かない。矢はゴブリンの頭部に突き刺さった。
それを見たら、気分が悪くなった。生き物が死んだところを見たのは初めてだったかもしれない。
兄さんがゴブリンから右耳を剥ぎ取る。討伐部位と言われるそれは、ギルドに持ち帰り、そのモンスターを討伐したという証拠として使われるんだとか。
それを間近で見る。耳の裏にナイフの先を入れる、肉の絶たれる音がとても不快だ。感情を押し殺して剥ぎ取り方を見る。なるほど、そこまで難しくはないようだ。ちらっと、ゴブリンの顔を見ると、額に空いた穴からどぷとぷと血が流れだしていた。思わず口に手を当ててこみ上げてくる吐き気を抑える。
兄さんが気持ち悪いなら吐いとけ、と言って背中を擦るが、なんとか我慢する。
吐き気が収まると立ち上がって歩き出す。兄さんや先輩たちに迷惑をかけるわけにはいかない。
しばらく森を進むとまた、何かの気配を感じる。兄さんがコボルトだ、という。視線を追ってみると体長80センチくらいのゴブリンに似た生き物が歩いている。あれがコボルトか。それにしてもよく見つけられたなぁ。
討伐目標ではないが、町の近くにいるモンスターを放置するわけにもいかないとのことで、近づいていく。
でも、なんか様子が。と思ったらコボルトたちが戦闘態勢に入る。全部で6匹いるみたいだ。
するとそのわきの茂みからゴブリンが2匹飛び出してくる。縄張り争いか、誰かが呟いた。
その戦いはあまりに一方的な数の暴力で、2匹のゴブリンは自分より小さなコボルトに殴り殺される。
動かなくなったゴブリンが見える。ぐちゃぐちゃになった頭が見える。今度は抑えられなかった。いっきに来た吐き気は抑えられず、胃の中のものを吐き出してしまう。吐いたのなんて初めてかもしれない。
兄さんが背中を擦ってくれた、まぁあんまり意味はないけど、多少は落ち着いたかな。
私以外の3人はすぐにコボルトに攻撃を仕掛ける。本当に一瞬のうちにコボルトは殲滅される。
自分の無力さを改めて感じて、3人の強さを知った。
コボルトの剥ぎ取りをしようとしていると、また気配を感じる。
今度は戦闘音を聞きつけてやって来たゴブリン8匹だ。
まずは兄さんが1撃ぶっ放す。ほんとにうるさい攻撃だ。でも効果は大きくて、轟音と威力に驚いたゴブリンは隊列を乱す。そこにレナさんとイヴァンさんの攻撃が続く。私は自分を奮い立たせて立ち向かう。1匹の隊列から大きく外れたゴブリンに斬りかかる。奮い立たせるために大きく叫びながら斬りかかる。お父さんに教えてもらったように隙が大きすぎないように剣を振る。肩から入った斬撃は肉を絶つ感触を手に伝える。そのまま振り下ろすとゴブリンは絶命した。
私が1匹を相手にしている間に、兄さんたちはゴブリンの群れを殲滅していた。私は自分のナイフを取り出して、ゴブリンから右耳を剥ぎ取る。肉に刃物を入れる感触にはまだ慣れないけど、そこまで難しくはなかった。
あと、4つ。討伐部位を持って帰らなきゃ。
エリー視点で書いてみました。ちょっと短いですが。




