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ガンナー異世界冒険記  作者: Mobyus
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第101話

 クイーンオーク。ランクEモンスター。オーク種で唯一の雌で、数千匹に1匹の存在と言われている。さらに、1個体での生殖能力を持っており、例え配下のオークが全滅しても時間さえあれば数を増やすことができるのだ。さらに、単体での戦力も有しているため非常に厄介なモンスターとして知られている。


「最後の1匹がクイーンオークだとはな...」

「クイーンオークにしては巣の規模が小さいな。巣別れの直後か」

「それなら好都合だ、ここで仕留めておけば今後しばらくはオークが増えるのを抑えられる」

「正面から挑むな!腕力はオークの数倍ある!皮膚と皮下脂肪も硬い!1撃で仕留めようとせずに連携して戦え!掴まれたら終わりだぞ!」


 リンジーが言い終わると待っていたかのようにクイーンオークが動き出す。それと同時に7人の冒険者たちは散開する。


 セシリア、ローレンの2人は後方へと下がり援護へと回る。ジャックたちは前衛に、シャリアートが遊撃へと回る。

 クイーンオークは通常のオークと同じか、それよりも少し速いくらいの移動速度で冒険者たちに襲い掛かる。

 その太い右腕に持っている石でできた巨大な剣を薙ぎ払うように振り、冒険者たちが近付けないように攻撃している。


 ローレンとセシリアは味方に攻撃が当たらないように、銃を撃ち、魔法を発動させる。

 ローレンが撃ったライフル弾はオークの身体に直撃するものの、大したダメージを与えることができていない。クイーンオークの厚い皮下脂肪と硬い皮膚に弾丸が止められてしまっている。

 セシリアも、味方に被害が出ないようにファイアーアローで攻撃するが、これもクイーンオークの防御を突破することができていない。


 前衛のジャックやリンジー、他の2人の冒険者も隙を見ては果敢に攻撃を加えているものの、やはり致命的なダメージを与えることはできていない。

 シャリアートの鞭も、クイーンオークの皮膚に直撃し甲高い音を立てているが、傷つけることすらできていなかった。


「クソ、かてーな」

「槍の矛先が皮膚を突き破っても皮下脂肪を突破できない」

「人に当たったら皮膚がはじけ飛ぶくらい強く打ちこんでるのに...」


 冒険者たちはいったん呼吸を整えるために攻撃を中断して回避に専念する。それを見たクイーンオークは嘲笑うかのような表情になり、冒険者たちへの攻撃を強めていく。


「セシリア、あいつの動きを止められないか?」

「前衛が離れてる今なら大きいのをお見舞いできるけど、せいぜいできて1~2発って感じね」

「わかった。じゃあ頼む」


 ローレンは隣で詠唱を始めるセシリアを横目で見ながら、ライフルの弾を装填する。


「クソ、通常の弾でぶち抜けるか微妙だけど...今日の朝ダッソーの鍛冶場に取りに行っておくべきだったな」


 弾が5発まとまっているクリップでライフルに給弾し、ボルトを閉じる。

 ちょうどその時には、セシリアの詠唱が終わり、魔法が行使される。


 クイーンオークの足元に出現したのは炎の沼だった。足が数センチ沈み、バランスを崩す。そして皮膚と皮下脂肪を貫通する灼熱を感じる。バランスを崩した時についた手も、炎の沼へと沈む。

 理解できない現象にクイーンオークは混乱するも、すぐに立ち上がり炎の沼から出ようと歩き出す。


「...くぅ、最大限の魔力を使ってるのに...私もまだまだね」


 セシリアは悔しそうにクイーンオークを睨みつける。

 この場合、セシリアの未熟さという部分もあるが、相手が悪かったというべきだろう。


 ローレンは前衛たちが炎の沼を見て距離を取っているところを追い抜き、炎の沼へ走り寄る。

 炎の沼へと1歩近付くごとに感じる灼熱に耐えながら、ローレンはライフルを構える。

 炎の沼に足を取られながらもゆっくりと進んでくるクイーンオークに向けてライフルを発射する。

 顔面を、目を狙った弾丸は5発のうち1発が左目に直撃する。


 クイーンオークは顔面に左手を当て、庇いながらも進んでくる。

 そして魔法の効果が切れ、炎の沼が消失する。

 それに気が付いたクイーンオークはすぐさま駆け出して左目を潰された怒りをローレンへとぶつけるように石剣を振るう。

 ローレンはギリギリで石剣を回避するが、地面にぶつかった衝撃波で弾き飛ばされる。

 土煙が収まると、石剣がぶつかった衝撃で小さいながらもクレーターができており、その衝撃を物語っている。


「くっそっ...」


 ローレンは衝撃波に交じっていた小さな石が当たり、右の額から血を流している。


「ローレン、下がってろ、セシリアが魔力切れでダウンしてるからそっちを見ていてくれ」


 炎の沼が消え、前衛たちが再度戦い始める中、リンジーがローレンへと指示を飛ばす。

 額から流れる血が目へと流れ込みそうになっているため、右目が開けられない状態になっており、ライフルを構えて狙いが付けられないことがわかっていたローレンは素直に頷き、後方へと下がった。


 その後の戦闘は左目を失ったクイーンオークが徐々に劣勢へと追い込まれていく。

 視界の左半分を失っているため、広く視界を取ろうと首を頻繁に動かさねばならないクイーンオークに対して、5人の冒険者が四方八方から攻撃を加える。さらに熱によって焦げかけえていた脚部の皮膚がもろくなっていたこともあり、攻撃が通りやすくなっていた。

 徐々に皮膚を切り裂き、突き破り、クイーンオークが満身創痍になる。

 そして、後方から突撃したリンジーの槍がクイーンオークの胸を穿ち、前方から首を狙ったジャックが動脈を切断し、その傷口を広げるように他の3人も攻撃を加える。

 身体の至る所から出血していたクイーンオークは、最後の断末魔を上げることもなく、あっけなく倒れた。



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