雲をつくる
声を響かせれば
青を深くする
あの空は
どうにも恐ろしい
光を見つめれば
次第に
嗄れていく喉
清らかにはなれない
わたしの足下
濃い影が落ちる
手をかざすように
色を薄めるように
まぶたをとじて
浮かぶ景色を
あたためる
この手のひら
瞳には
映せなかった風の名残
置かれたまま
途方に暮れる夜にとける影
取りこぼしそうな
砂塵のような寂寥
別れにただ
身を任せるように
流れるのなら
ため息に似た
ひそかな息継ぎ
産毛の震えるような
胸の高鳴り
髪先から引かれた
冷たい境界線
握り締めるばかりの手を
開いたのならすべて
立ちのぼれ遠く
それは
何とも表せぬまま
寄り添い集う
それを
いつか
何とも表せるよう
滲んだ輪郭に
空を透かせば
微笑となる柔らかさで
変わってしまう
ものだとしても
名のない形も
名付けた形も
消えゆく
あのひと筋でさえ
わたしは
それを
知っていると
見上げるだろう