表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/262

小説.57

正しい選択か分からない。だが志織は、仕方ない。と許した。だから正しいと思った。


助けたい気持ちと助けるべき気持ち。同じようで濃さが違う。重さが違う。


俺は先生達と屋上に上がり、紙に簡単な地図を書く。あの赤色の屋根の家に子供服。このスーパーに大量の袋。このアパートには他の人間が住んでいる。このマンションにも人間が居る。と次々と思い出し、書きながら説明していく。


子供達は大人しい。ずっと怯えて生きてきたのだろう。志織は大量のお菓子を惜しみなく与えていた。

それを見て俺は決めた。

[今から一緒に取りに行きましょう]

志織が助けてるなら俺も助けてあげなければならない。多分、誰もがそんな気持ちになるはずだ。多分だが。


バタバタしながら、物資を集め回る。

結局、ひと段落したのは夜中遅く。


[僕達はここに一カ月以上暮らしていました。好戦的な人間には出会いませんでしたし、ゾンビも二階までは上がって来ませんでした。水だけは探さないと厳しいですね。食料もこの人数だと難しいです。まだジャガイモとか野菜の種がホームセンターにありますので屋上や教室で栽培するしか]

俺は出来る限りの情報を教えた。

[お酒にタバコもあります]

そして、もう寝ます。と言って先生達から離れた。


俺と志織、屋上に行く。

[ごめんな]

俺は謝る。志織を守ると言いながら、余計な事をしてしまった。

[断るつもりだったの?]

志織は尋ねた。俺は首を振った。

[多分ね。断ってたら、ヒロの事だからずっと負い目を感じて落ち込むと思うの。そんなヒロを毎日見るのはイヤだわ。だったら助けてあげた方がいい]

志織の言う通りだった。断ってたら、確実に落ち込むだろう。俺はそこまで強くない。

[でもあの人達とは一緒にいられないわ。となると私達、出てかなきゃならないわ。どこ行く?]

志織は言った。これも志織の言う通りだ。俺にはとてもじゃないが守れない。家族ですから守ろうとしなかったのに、こんなにたくさんの人を守るなんて不可能に近い。

[いいのか?]

俺は志織に言った。また歩きながら生き延びる生活が始まる。平穏だったこの生活を捨ててまで。という意味の問い。

志織はうなずく。

[いざとなれば、また学校探して住めるし。それに少し退屈してたのね。ここ]

志織は笑って言った。志織は退屈とか贅沢は決して言わない。俺に少しでも罪悪感を背負わせない為に言ったのだと思う。

[退屈だから新しい生活にしたい]そんな甘い考えでは生きていけない世界観。志織の方がよく分かってる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ