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現実.38

気分が再び重くなる。

書くのを辞めて弓矢を作る事にする。竹はたくさんある。矢を先に作る。コツはまっすぐな竹を探し節を先端にするように切る。それだけ。

ゾンビを狙うなら足のスネから下だ。太ももでは倒れない。足の甲を射抜けばスネよりも足止め出来る。だが角度が難しい。


人間なら胴体を狙う。まず当てる事を優先する。下手に頭を狙っても外したら意味がない。


女や子供でも簡単に使える。威嚇するのにも使える。五、六人が弓を構えていたら近寄れない。三浦家の女性子供全員が構えてるだけで充分、牽制になる。先端にゾンビの体液を塗ってある。と脅せば効果は倍増する。


単調な作業だが、ちゃんと考えて作らないとまっすぐ飛ばない。時間潰しや、イヤな思考から逃げたい時には最適な単純作業だ。

作り上げた本数を見て満足も出来る。これだけ作ったんだという達成感。


先端を細くし、反対側はヒモをかけられるように切り込みを入れる。鳥の羽を挿せば正確度も上がるが、実際は威嚇や牽制だけ。人数が多いから命中度が下がってもあまり問題ない。


ひたすら作業に没頭する。余計な考えをしなくて済む。


疲れはしない。三十本作ったら休憩しよう。


どの矢の太さも出来るだけ同じ太さにしよう。節も綺麗に削って。と、こだわりだせばキリがない。

時間はたくさんある。

出来る範囲でこだわりだす。

ちょっとでも曲がってない竹を見つけたくてかなり奥まで探す。


[何やってるの?]

声が聞こえる。ミズホさんと志織が道路にいた。

気づかなかった。これが他の人間だったらヤバかった。


俺は竹やぶから戻る。

[トイレだったかしら。悪い事したかな]

とミズホさんは志織に言ってた。

志織は笑ってる。元気そうでなによりだ。

充分寝れたのか?と聞きたかったが、ミズホさんもいるし、心配し過ぎなのもよくないかも。と思い言えなかった。

充分寝れたに違いない。そう思い込む。


[弓矢を作ってたんだ]

俺は言った。


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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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