現実.33
道路から起き上がる。ずっと寝転んでいたり座ってると身体がおかしくなる。痛くなったりおかしくなる感覚は分からないので、これ以上は身体に負担がかかるだろうと予測して意図的に動かしている。痛みや感覚はないが人間の身体なのだ。自己修復するとはいえ、おろそかにしてはいけない。
志織は熟睡出来てるだろうか?
安心出来るちゃんとした部屋に布団で寝てるはずだ。
小説を書くと、あの頃の自分の気持ちが昨日の事のように思い出せる。
志織を守る気持ち。ナイトとかの誇らしい気持ちとかはない。あるとしたら、これまで守ってこれたという自負だけだ。
守るべき誇り。ではなく、守ってこれた誇り。結果論からの自負。
責任感ではない。自分の生存目的達成の為。
だから誰かに任したくない。たとえ自分より強く安全であっても。
志織は俺の所有物ではない。
志織が俺から離れたいと思うならば俺は離れなければならない。
志織の望みは叶えさせたい。
やはり、おこがましい気持ちがある。
何様だ?俺は。
何故、志織だけ特別なのか分からない。
可愛いし、尊敬もしている。俺の命を助けてくれた。
志織が居なくなれば俺はまた違う人間を守ろうとするか?
ツトムさんやミズホさんを守ろうとするか?
きっとしないだろう。志織だから守る。
志織以外はどうでもいい。
いつかは独りになる。その覚悟はしている。覚悟しとかないとその時に哀しくなるからだ。予防線を張る。心が痛くならないように。想定しとく。寂しさで苦しみたくないから。
独りになったら、このまま何も食べず、ゾンビに食べられてもいい。痛みも感じない。意識が遠のき、そのまま何にも感じないままでいい。
最初と合わせて三度経験した。別になんて事なかった。
ヤバい。と思っただけだった。痛みも恐怖すらもなかった。
やるべき事を考える。小説の続きを書く位しか思い付かない。まだ真夜中。俺にとって平和な時間。




