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小説.23

人間の姿を見つけた。家族連れだろうか。小さな子供二人と多分両親。あと大人が一人。

俺達は隠れる。

大人三人は大きなリュックを背負ってる。助かって欲しい。無事を祈るしかない。それしか出来ない。


昨日までは俺達はホテルから動かないせいもあってか、人間を全く見かけなかった。だが今日だけでかなりの人間がまだ生き延びてる事を知った。


きっと誰もがヒッソリと隠れていたに違いない。

火事で移動せざるおえなかったのだ。

夜になれば、もっと人が出て来るだろう。


火事の心配やゾンビの多さで都会には住めない。田舎に行く。誰もがそう考えるはず。


俺は人間もゾンビも居ない場所。火事の心配がなく、食料と飲み水がある場所を。思い付かない。どこに行けばいいか。


家族が遠ざかるのを確認し、再び歩く。

高架線も他の人が思い付くかもしれない。

それでも安全な場所は高架線しか思い付かない。


電柱が倒れて高架線に傾げてある。ここから登る事にする。電線を引き千切る。肩が外れてた事を思い出す。多分、さらに酷くなったと思う。

志織に巻き付け、俺は登り志織を引き上げる。肩の故障を気をつけながら。


高架線の上。何もない。ゾンビは一体も居ない。その代わり隠れる場所もない。望遠鏡で近くに駅がないかを見る。何も見えない。見えるのはここと同じ、レールと電線。途中に赤い消化器の箱が一つ。

火事はここまでこなさそうに見える。断定は出来ない。とりあえずここなら大丈夫なはずだ。


志織が望遠鏡で見ながら言う。

[あっち側は渡れないよ]

見ると、かなり向こう側の高架線が崩れてる。電車が地面に雪崩れてるように落ちている。あっち側からはゾンビは来ない事が分かった。


[人が居る]

志織の声に、また俺は望遠鏡を覗き志織の見てる方向に向ける。一人が自転車で逃げている。他にも数人がそれぞれ逃げている。


まるで虫みたいだ。と思った。

火であぶされて逃げる小さな虫。

その小さな虫達が、地球をこんな巨体な建造物だらけにした。個々は小さいが群になると最強になる。

ゾンビも同じだと思った。一体だけなら弱い。だが群れると最強だ。

そのうち人間みたいに最強同士が争うのだろうか。

それとも再び人間の住む世界になるのだろうか。


頭を振る。今考えるべきではない。やるべき事を考える。

まず俺だけで必要な物を探しに行く。


リュック、寝袋、目薬と薬、ナイフか包丁。服。懐中電灯。飲料、食べ物。

志織にも聞く。靴のサイズが合わないと言う。サイズを聞く。ついでに服のサイズも聞いた。

必要な物。靴。ロープ。スキー用手袋。ヘルメット。頭に叩き込む。

望遠鏡で必要な物がある店屋の目星をつける。

最短距離のルートを考える。他の人間が居ないか探す。


[行って来る]俺はそう言い降りる。

降りてる最中に志織が言った。[鏡]

頭に入れる。

何に使うか分からないが、小さいのならかさばらない。


チェーン店の服屋から探しに行く。本当ならバイク用の皮のツナギが欲しかった。途中、時計屋を見つけライトの点く腕時計を二つ。

人間は見かけなかった。


スーパー。やはり食料は無く、缶詰もツナやフルーツ。小豆。

乾き物。小麦粉やスパゲティ。乾麺などは無かった。

あまりにも特定の物だけが無くなっている。

ひょっとして。と従業員用のトイレを見る。女子トイレに机や物置が積まれている。どかし、トイレを開ける。中にはたくさんの食料が積まれていた。案の定、誰かが隠したのだ。


あの高架線で何日も過ごすとは思わない。適度に取りリュックに詰める。トイレットペーパーも必要な事に気付く。トイレはどうするか?考えなければならない。身体を洗う事も。考えながらカートにも詰め込み、カートは階段の下に隠した。

ここは人が近くに居るという事だ。夜にでも取りに来るかもしれない。


レジはほとんどが壊されていてお札は一枚もなかったが、小銭、五円玉、十円玉は入っていた。

これはポケットに詰め込む。夜にでも投げる練習をしようと思う。


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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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