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小説.22

ブルドーザーから出来る限り遠ざかる。消す人は誰もいないから火は燃え続ける。

川がある方向。橋さえ渡れば火事に巻き込まれる心配はなくなるはずだ。


なるべくゾンビの少ない場所と、ビルの中を通る。ビルの入り口から入り、裏口から出る。屋内はゾンビが少ない。


志織は黙ったままついてくる。走りたくなる衝動を抑えながら志織のペースに合わせる。

途中のオフィスビルの中に売店。飲み物を取る。レジの横のスティック状のチョコを無造作にポケットに入れる。


普通の人間も逃げ切る事は出来る。ゾンビの数が少なければ。


安全なのは地面を歩かない事だ。二階や屋根、屋上を渡れるなら、落ちる心配だけでいい。

地下鉄の入り口が視野に入る。何万人もの人間が電車を利用している。きっと中ではゾンビだらけだろう。それに電気がつかない。暗いし、換気や排水も出来てないはず。


レジから小銭を取ればよかった。と気付く。俺の力で十円玉を十枚ほど投げれば、かなりの威力になるはずだ。

転がってるコンクリのカケラを拾いゾンビに投げつける。

カケラはゾンビのお腹を貫通した。ゾンビはよろけたが何もなかったかのように歩き出す。俺の肩が外れた。コンクリのカケラを握り締めてた手の皮膚が破れた。命中させるのと力加減が難しい。

頭か足に当てない限りゾンビは倒れない。


川、橋のある方向に早足で歩く。あのホテルよりもゾンビは少なくなったが、危険なのは変わりがない。


志織が息切れ。どこかで休まないといけない。火事に巻き込まれる心配。が、少しの間なら大丈夫だろう。


ビルは至る所にある。どのビルで休むかが問題。すぐに逃げ出せる場所。川の向こう側に辿り着いても、そこから先はどうする?


考えるべき事が山ほどある。何も思いつかない。


女の身体ではゾンビは逃げない。つまり志織は襲われる。今の俺も襲ってくるだろう。ビルの一室で一夜を過ごしても出る時には囲まれる。


電車の高架線が見えた。登れる場所を探す。

あそこなら火事は煙さえ気をつければ大丈夫だし、燃える物もないはず。


リュックが欲しい。ロープが欲しい。着る物、懐中電灯、寝袋、当面の食べ物。ナイフ。数えあげたらキリがない。全て置いて来た。

手にしてるのは、望遠鏡。ベットボトル。チョコ。

ホテルから出る時に少しでも持ってくれば良かった。でもそれが原因で火事に巻き込まれたら。

どちらが正解か分からない。

必要な物はまた集めればいい。一年後は分からないが。



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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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