表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/262

現実.19

コンテナは向こう側にいる男達が引っ張っていた。向こう側…大きな家と納屋、小屋の三棟。そして畑。鶏小屋、牛舎。

田舎によくある大きな民家。

その敷地を囲うようにベニヤ板や木材でバリケードとして張り巡らせてある。

外側は一面の竹やぶ。人間もゾンビも入り込めない位にビッシリと生えている。

怖いのは火事。

その事を言おうとしたが辞めた。わざわざ機嫌を損ねる事はない。多分、彼らも分かっているだろう。


三十人位居た。子供も居る。年頃の女は居ない。中年の女性とお婆ちゃん。

この家の家族と親戚と近所の人達だろう。中年の男性が多かった。

話をしてる男には嫁や彼女がいるような感じはなかった。いるならそれらしい女が近寄って来るか、何かしらの目配せをするはずだ。

[俺の名前は三浦ツトムだ。ツトムでいい。何人も三浦がいるからな]

この本家を継ぐ長男だろう。

俺と志織も名前を名乗る。

子供達が近付いてくる。どの子も無邪気だった。スレていない。

東京に居たら真っ先に死ぬタイプ。危機感が見られない。この家や庭からはあまり出た事が無さそうだ。

本来の子供はこうなのだろう。だが今は違う。ある種の緊張感は絶えず張っていなければならない。志織のように。


[全員で四十五人だ。居ないのは遠くに出掛けてる。ここには医者が三人も居るから看てもらうといい。外から来た者達だ。後のほとんどが三浦家だ]

皆、ツトムに怖れを抱いてるようではない。独裁的ではなさそうだ。

一家の期待を一人で受けている。その期待に応える為に頑なにに頑張ってる感が見受けられる。

逆に取ればツトムが居なくなったら一気に力が弱まる。そんなグループに見えた。


志織は子供達にアイパッドを取り出し音楽を流した。

俺とツトムだけになる。

[今までに何回位、人間が来ましたか?]

[多分十回は来た。ここ最近は数回だ。大勢のグループは堪らんな。威圧的だ。必死なのは分かるがどうにもなぁ]

ツトムは息を吸いため息を吐いた。

[水はあるんですか]

井戸を見つけたが言った。

[水の心配はほとんど無い。温かい風呂にも入れる]

志織が喜ぶだろう。

[布団もあるし、食い物もある。足りないのは燃料と米、薬だな]

[探しに行ってるのですか?]

[行ってるがここら辺りではもうなかなか難しい。ガソリンもサビが混じって使いものにならん]


[まぁ、ゆっくりしていってくれ。俺は寝る。何かあったら女達に聞いてくれ]

ツトムはそう言って、女達と話しをしに行った。


女と子供は夜に寝て、朝から起きてるのだろう。男は夜に動き朝方寝るのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ