約五十年後
アメリカを始め先進国は驚異的な速さで完全に復活した。ファームの廃止から始まり、鉄道や飛行機などインフラ整備もほぼ終わり、強烈な磁場も消えインターネットの復活も秒読み段階。
結局、あの世界規模の災害の原因は宇宙からの未知なるウィルスによるもの。が公式見解になった。
それよりも百八十ヶ国同盟という地球政府の誕生が人類の未来を大きく変えた。
全人類の登録制。国家からの税金と地球連合刑法。
爆発物の公開登録制と威力保有制限。
国の上に統一機関。地球政府を誕生させた。
人口は地球政府の予想見解を大幅に上回る四十億人を超えた。
人類が瀕死レベルになった事と地球政府の誕生で最下層と富裕層の差が少なくなり、先進国と後進国の差もはるかに無くなった。
産業もそれぞれの国が特色を活かし、以前の生活よりも平和になった。
各国で使える通貨以外に全国共通の通貨が出来た。
宗教観もキリスト神話の崩壊により、新しい宗教観念が生まれるも全体的に縮小の傾向になった。
資本主義だが社会主義の中での資本主義となる。
俺と志織は今だに世界をくまなく放浪している。全く飽きる事はなかった。
お金は志織が大量ではないが金や価値ある宝石を持っていた。が、使う機会がなかった。
まだ明らかに色の白い肌の人種を畏怖する人間が多かったからだ。
栄えた都市や町を避け人間の少ない地方を旅している。
この五十年で得たのは経験は、語学力を始め、それぞれの国の文化と性格。志織のデジカメのデータ量。
あっという間だった五十年。それでも振り返るには短すぎる。
人間だったら俺は七十五歳。いい老人だ。人間の寿命はなんて短いのだろうと感じた。
時間はもっと長いかと思っていた。だが過ぎてみれば短かすぎる。
ダラダラと過ごしてはないが淡々と生きてる。
地球政府は宇宙開発を前面に推していてテレビや新聞では宇宙ステーションの開発や移住計画が毎日、討論やテーマで放送、報道している。
地球の何千倍もの大きさの星や地球と似たような星の可能性が見つたかったとか。
地球一体としての意識を高めてるみたいだ。
このままいけば国家間の争いは無くなるだろう。
俺はそれを最後まで見ていたい。
いや、最後まで見るつもりだ。志織と一緒に。




