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小説.12

志織を置いて俺はヨシオのアパートへ向かう。

志織は物凄くイヤがったが、ここではまず死なない。と強く言い聞かせた。

欲しいモノは無いかと聞いた。

本とゲーム機。

そんな余裕がよくあるな。と言おうと思ったが、現実逃避したいのかも。と思いついたので、分かった。と答えた。

独りで、何もしないと不安で押し潰されてしまう。


食料と水はある。無理さえしなければ当分、ここに住めるはずだ。

道路に出る。耳をすます。ゾンビ以外の音や声は聞こえてこない。


バイクや車の音。ヘリコプター、飛行機。叫び声や日本語。何も聞こえない。


電気屋が視野に入った。店内に入る。中は荒らされていない。

俺は乾電池のゲーム機とソフト。持てるだけの電池と懐中電灯を持ち出し、志織の居る部屋まで戻る。ドアの前に起き、三三七拍子のノックをし、階段を降りた。


遠くで発砲音が聞こえた。そう言えばゾンビの数が今朝見た時よりも少ないように感じる。

ゾンビの動向を見る。発砲音の方へゾロゾロと歩いている。


人間がいるのだ。

俺も物陰に隠れながら近付く。

姿はまだ見えないが近づくにつれて、一人ではなく何人かいる事に気付いた。複数の怒声と罵声が聞こえてくる。ヤクザに違いない。近くのマンションに上がる。四階まで上がりやっと見えた。やはりヤクザだった。遠目でも分かる。十人位居て、トラックに荷物を詰め込んでいる。トラックの周りでバットやゴルフのドライバーなどでゾンビに向かって振っている。だがゾンビの数が尋常ではない。もっと集まってくる。

発砲音は鳴り止まない。それでもゾンビの数は減っていない。

トラックが走り出した。車の前にいたヤクザとゾンビを轢いた。後ろの荷台はまだ空いていて積んでいた荷物が落ちる。バッグする。後ろのヤクザとゾンビを轢く。めちゃくちゃだった。

双眼鏡が欲しい。ヤクザとゾンビの攻防を見てる人間が俺以外に居る可能性がある。


アイツラの拳銃が欲しかった。

帰りに覚えていたら取りに行こうと思った。


ヨシオのアパートまで一駅の距離。

聞こえてくるのは、遠くから発砲音。まだ交戦している。ずいぶんと発砲音は減っている。

近くではゾンビの唸り声と咀嚼する音。骨も食べてるのだろう。犬が人間の姿になり、落ちてる大きな肉の塊を食べてるようだった。

ふと気付く。子供のゾンビが居ない。女性のゾンビも少ない。赤ん坊も見ない。


弱い者から襲われてくのだろう。なんとなく分かってきた。俺はゾンビよりも強い。だからゾンビは俺から逃げるように離れていく。


ゾンビの動向が一つ分かった。


猫の鳴き声がする。木の上に猫がいた。真下にゾンビが固まって居る。

俺は近づく。ゾンビは散り散りに離れていく。

猫はゾンビにならないらしい。だがゾンビの肉を食べたら変わるのか?

分からない。猫は降りてこなかった。俺は石を軽く投げる。猫は転がるように落ちたが、すぐに逃げた。怪我はないようだった。

恩返ししてくれないかな?

俺は思った。当然あてにはしてない。ただそう思っただけだ。


ヨシオのアパートの前にヘルメットをかぶったゾンビが居た。あの服は見覚えがある。ヨシオだ。

ヘルメットをかぶってるので食べられないらしい。しゃがみ込んで死体にヘルメットをこすりつけている。

俺は逃げようとするヨシオを捕まえ、ヘルメットを取ってやった。

顔は俺と同じ真っ白。ヨシオだった。

逃げようとするヨシオの服を破かないように脱がす。服の下にはナイフが三つ、ナイフホルダーに挟まっていた。ナイフホルダーは外れなさそうなのでナイフだけを取る。

靴も取りたかったが諦めた。

ズボンが破けている。噛まれたか、掴まれたか。


逃げてくヨシオを見守るしかなかった。


ズボンも防刃ズボンにすべきだったな。


しかし、どうやってゾンビになったのだろうか?

食われたらそのままゾンビに食われてしまうはずだ。

食われなかった人間がゾンビになるのか?

分からない。


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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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