エピローグ.2
ダビデの箱は俺が持っている。数キロ離れた先に志織が居る。
海に破棄しようとしたが、なんか可哀想な気がしたからだ。
志織は俺の思いを受け入れてくれた。
今までのカーリーにも動けないカーリーがいて、ピラミッドの地下奥にも存在してる。と言っていた。
俺の聞いたバミューダ海にある魔のトライアングル海域は違うらしい。
ダビデの箱を背負いながら一人歩く。でも数キロ先に志織がいる。
一人だけど一人ではない。この距離感は寂しくはない。
俺はある意味無敵になった。ダビデの箱を持ってる限り。誰も近寄れない。
分かる場所に埋めようと思う。何処に埋めたらいいか考える。
考える時間はいくらでもある。
荒れ果てた道路や看板。朽ち果てている家屋。
何十年後には、どこもかしこも綺麗に変わってるだろう。
変わらないのは俺と志織だけ。そしてカーリー。ダビデ。
審判のトキを迎えたのは一ヶ月くらい後の夜。多分七時くらい。ボストンの島にある志織の家。
志織からパーティクルが空高く立ち昇ってくのが分かる。ここから陸は見えないが他のポピュレーター達も同じだろう。
世界が数十秒明るくなり、暗くなりオーロラが世界を覆う。
いつかはこのオーロラも消え、また人間が世界を支配するだろう。
誰が地球を支配しようが構わない。
志織がそばにさえ居てくれたら。
俺はメガネを外し志織を見た。
志織は笑ってた。
この笑顔さえ見れたら俺は幸せだと思う。
〜終わり〜




