エピローグ.1
[続きの小説が書けるね]
志織が言いながら階段への扉へ向かう。
とりあえずダビデの箱へ向かうらしい。
[ねぇ。俺は本当に志織の役に立った?]
俺は一番聞きたい事を聞いた。今聞かなかったらずっと言えないかもしれない。そう思ったからだ。志織は立ち止まり、
[もちろん。最初から今までまでずっと私を助けてくれたわ]
それから志織は振り返り俺に抱きついた。
[そばにいてありがとう]
俺の胸元に顔をうずめ、くぐもった声で言った。俺も志織を抱きしめ返して、
[助けてくれてありがとう]
と答えた。
[このままジャンプしない?]
このまま?と俺は聞き返す。志織はうなづきながら跳び跳ねた。俺も力を入れて跳んだ。
トニとパルを思い出す。きっと志織も思い出したに違いない。
抱きあったまま何回も跳ぶ。
あまりにもバカバカしい行為で俺も志織も声を出して笑った。
笑い過ぎてお腹が痛くなった気がした。
[なんでこんな事をしたいと思ったの?]
俺は笑いながら聞いた。
[分かんない。分かんないけどなんかしたくなったのよ]
志織も笑いながら答えた。
これからまだ大変な事は起こる。
でも、今だけは楽しく平和で幸せだった。




