現実.145
ライフルと弾を持って志織と再び激戦区へと走る。
途中、志織が立ち止まる。向こうに敵がいる事が分かる。
六人居る。と志織が言い、指差す。俺がライフルで狙い撃つ。避けようとするポピュレーターは居ない。発射音が響いた次の瞬間には敵は倒れてパーティクルを散霧させている。パーティクルは近くのポピュレーターに吸い込まれていく。そして俺の方に向かって来る。それを志織が倒し回収する。
俺の射撃を志織は止めない。発砲音で他のポピュレーターがやって来る可能性が高くなるのに。
俺は役に立ってる。その役割を不利になるも活用してくれている。
自分でも驚く程、射撃の命中度は今までより遥かに高かった。走って来てる敵にも一発で松果体を貫けた。
志織がいるから無様なところは見せたくない。そんな気持ちがあるから、より集中してる。狙い通りに当たるので気分もいい。相乗効果。
さすがに少人数だと志織が倒す。戦闘を間近で観れるのは圧巻としかいいようがない。
俺はただ突っ立っているだけ。
志織の援護射撃は必要なく、むしろ邪魔になると思う。
なんだろう?志織のこの強さは。
動きに淀みが無い。敵が大きくても、頑丈な鎧みたいなのを身に付けていても、苦戦せずに倒していく。
素早いのは素早いのだが、他のポピュレーターも素早い。
だが大振りはせずに、ギリギリに避け、力む事なく貫いたり斬ったりする。
舞踊や演舞を観てる感覚。なめらかというか綺麗というか…そう。丁寧に動いてる。それが的確な表現。
敵がわざと志織に回収される為に向かってくるようにすら思える。
それくらいに志織は危なげなく倒していく。
より明るい発光色は磁石みたいだ。
志織が引き寄せている。逃げるつもりはないが、激戦区ど真ん中ではなく、これくらいの距離を保って近づいてくるポピュレーター達を倒してく事がベストなのかもしれない。
暗くなる。俺の射撃はお手上げになる。スコープを覗くと真っ暗で命中率が下がる。発射音でポピュレーターをおびき寄せる事しか出来ない。




