現実.125
けっこう街を捜し回ったが、他のポピュレーターも遠くにいて近寄れば逃げてくし、赤く発光してる味方のポピュレーターも見つからない。
暗くなるにつれてトニの発光が目立ち始める。
[どんな場所に隠れても絶対にバレるな]
俺は言った。トニが答えずに、
[しかし、ヒロは本当に吸収出来ないんだな]
と言った。
俺はポピュレーターと思考や価値観が違う。ポピュレーターの価値観をもっと知るべきだと思った。
屋上は風が強く、敵を見つけても狙撃は無理。
いったん帰ろう。とトニの案で俺達は帰る。帰り道の一本道。向こうから赤い発光が一つ。互いに気付いている。俺達も道路の真ん中を歩き続ける。
パルだった。合流してパルが言った。
[向かう事になった]
[ダビデか?]
[ダビデのパペットも必要になるんだとさ。かなり大きいグループを襲うらしい]
トニとパルの会話。
回避や逃げる選択はしないらしい。
[すぐ出発する]
俺達三人は走って隠れ家に向かった。
ダビデのパペットがどこから持って来たのか分からないが遺体を喰べていた。
[弾はないから]
戻った俺達にダビデのパペットは言った。足元に三体の遺体。どうやって三人のポピュレーターを倒したのだろう。不思議でたまらなかった。だが聞ける雰囲気ではないし、聞いても答えてくれなさそうなので聞かなかった。その代わり、喰べる時に転がってる遺体をよく見た。ナイフ傷はないが、足や手が綺麗に切れている。そして首にも。ワイヤー。もしくはピアノ線だ。
俺は遺体を喰べ始め、気付かれないようダビデのパペットを盗み見る。
髪の毛は金色でツインテール。リボンで縛っている。服装は大人用のミリタリー服を短く切った上着とズボン。子供用の赤い長靴が違和感。だが口周りから胸元、足まで血塗れ。それがヘンテコな服装よりも目立つ。
目をつぶり、ただ突っ立っている。神経が本体に集中している。
ダビデのパペットは悪趣味なヤツが作った等身大の人形のように見える。殺人人形だ。




