現実.123
やられた。とトニのパペットが小屋から出て来て言った。
これで志織と連絡を取れるのはダビデのパペットしかいない。だがダビデのパペットはよほどの事がない限り動かない。
摂取も最低限しか摂っていない。
あとどれ位続くのかと聞くと、あと半年か、半年切った位だろう。とパルが答えた。他にもトニが他のポピュレーターから聞いた話を教えてくれる。
アジアはエイが統率していて、中近東とアフリカ大陸はカニが。南米大陸をバイが。
アメリカ大陸とヨーロッパ地方及びアジア地方の上部が空いている。
そしてダビデがアメリカ統率を狙っている。
そんな話から始まりパルは色々と話をする。
ダビデの仲間は増えてるが、審判が近くなれば、ダビデは仲間を喰うだろう。
カーリーになるにはそれだけのパーティクルを集めなければならない。
志織の話題が全く出なかったので俺は観念して聞いた。
[志織は?]
[最初に質問しろよ]とトニは笑って言った。トニは志織の話をわざと言わなかったのだ。
志織は淡々とパーティクルを集めてる。ダビデと同じほとんど喋らないから辛かったぜ。とトニは言った。
[今回は後方で闘ってるな。ダビデは先頭で。パーティクルの回収は早い者勝ちだからな。危険な分見返りも高い]
[志織はどうやって戦うの?]
[ナイフとかだな。前はパペット使いだったが今回は独りだから]
[パペット使いって?]
[自分のパペットとのコンビネーションが抜群に上手かった。死角がないとは正にあの事だ]
思い出したようにうなづきながらトニは言う。
[まぁあの人数だ。滅多に死にはしないと思う]
[トニはどうやって…]
と俺は言いかけたが失礼にあたると思い言い止めた。
[どうやって倒されたか?か。普通に流れ弾が運悪く当たってお終いさ]
トニは気付き簡単に答えた。
[悔しくないの?]
[まぁしょうがないさ。こればっかりは仕方ないって割り切るしかない。まだ生きてるしな]
トニの本心を読もうと顔を見たが分からなかった。志織は死んだら終わりだ。代わりは無い。
[俺も行くよ。志織は大丈夫だとは思う。思うがやはり…]
[運が悪けば死ぬかもか]
トニが俺の続く言葉を言った。俺は神妙にうなづく。
[遠くから支援する事は出来る。敵を見かけたらトニに見せられる]
俺は言った。トニに狙撃を見せたい。俺も戦力になる事を知ってもらいたい。俺の狙撃が有利なのをパルが言ってくれたが、聞くのと観るのとでは大きく違う。




