現実.121
マシンガンとショットガンは落ちていない。生き残ったポピュレーターがほとんど拾って行く。その代わり短銃や長銃はいくらでも拾える。落ちてるマシンガンは銃身がどれも曲がっていた。拾われ使われないようにする為だろう。
罠のほとんどはダビデ達が張っていたのだと後から分かった。背後から襲われない為の策だと。
ある程度の罠の仕掛けた場所を聞く。
それでもまた引っかかった。頭と胸までの上半身だけになった。両腕もほとんど無かった。
パルが居なかったから俺はその場で絶対に死んでいた。
志織には言わないで。と俺はトニにお願いした。
元の身体に戻るまで違和感がつきまとう。
さすがに跡地での弾の調達や摂取はともかく戦闘は厳しいと思った。かと言ってダビデに罠を張るのを辞めろとは言えない。
出来る限りの銃と弾を拾い、隠し小屋でひたすら練習をする。襲いに来たポピュレーターを狙撃する。そんな毎日。気付いた時には四ヶ月が経っていた。
[まだ四ヶ月か]俺の言葉にパルの言葉、もう四ヶ月だ。が返ってくる。
ダビデ達はかなり離れた場所に移動し続けている。一週間走り続けないと合流出来ないな。とトニは言った。
地球は広い。どれだけのポピュレーターが居るのだろうか。
本体を殺してもパペットが居る。
つまり百人見かけたら倍は居るって事になる。
命は本体とパペットで二つある。
志織は大丈夫だと俺は信じてる。信じるしかない。
激戦区ではどのポピュレーターも、鉄の輪っかをマフラーみたいに首と口周りに巻いてる。松果体を守る為の防具。
松果体さえ無傷であり、味方がそばにいて回収してもらえば、元どおりになる。遺体はいくらでも転がっているし、再生可能。
松果体さえ無事なら何度でも元に戻る。
大きな爆弾を落とせば早くケリが付く。と思っていたが、松果体があまりにもバラバラになるとすぐに霧散し吸収出来なくなる。だから落とさないらしい。
爆弾を使って喜ぶのは空中にいるアイポだけだ。
生き残れば残る程、一人の持つパーティクルの量も多くなる。それを狙って最後の方に参戦した方が得だと思うのだが、たくさん経験し実践に身を置いた方が強い。
後から参戦する甘い考えのポピュレーターこそカモだと、パルは言った。




