表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/262

現実.115

夜中にパルが小屋から出て来た。

彼の顔色を伺う。志織に何かあったか?


[俺はダメだった]

パルが言った。志織はまだ無事らしい。ダメなら、俺もダメだった。と言うはずだ。それでも聞かずにいられない。

[志織は?]

[あいつは大丈夫。呆れる位強い]

パルは弱い笑顔で言った。

ホッとしつつもパルはパペットの身体も失えばAZの元へ還る事を思い出し、俺は残念に思う。顔に出たのをパルは見て、

[まぁ俺は違うポピュレーターになるからな]

自分にも慰めるようにパルは呟く。俺はなんと答えていいか分からず、あいまいに何度かうなづく。

[とりあえず誰も来ない。戦車や装甲車が来たらヤバイから穴は掘った。摂取はどうする?]

俺は簡単な報告と一番の疑問を口にする。

[補給は行くしかないがギリギリでいいだろう。とにかくヒロは生き延びる事が優先だからな]

穴の事は何も言わなかった。摂取はやはり必要みたいだ。


[疲れただろう?代わろう]

パルが言った。ずっと見張り続けるのは精神的に疲労する。でも俺は慣れている。これが二、三ヶ月も続けばイヤになるのだろうが、十日すら経ってはいない。俺は首を振る。

[一緒に見張ろう]

俺の言葉にパルは俺の隣に寝そべる。

[なぁ、ヒロは人間ではないがパペットではない。多分不具合で出来た新しい存在なんだろうな。もしくはAZが意図して創ったか。そのどちらかなんだ。あの、本当の役目はなんだ?]

最後は少しドモってパルは言った。

[不具合だと思うよ。正直AZからは何も言われてない。むしろ本当にAZは居るのかすら思ってる。人間でいう神様みたいなもんだと]

俺はAZの事を体感してないから今だに半信半疑。


[AZは神ではないな。地球や時間、鉱石や鉄。宇宙を創ってないからな。一つの精神体。思考を細く分割出来るから集合体だ。分離しなければ一つの個体意識だが分離した分意識は別れてく。その一つが俺。それはハッキリと断言する]

[今までは何処にいたの?まさか地球で産まれた訳じゃないだろ?]

[気付いた時には宇宙にいた。ずっと彷徨っていた。長い長い間な。意識は途切れず何もない空間をただただ星を眺めるだけの時間。無為な時間を過ごす。一秒たりとも意識を途切らす事も出来ずにそこに居るだけの存在。何千年ならまだしも何億年もそのまま。自分の精神を分離し考え合うのも限界はある。最終的に同じ思考だからな]

俺はパルの話に違和感を感じた。話し方がおかしい。パルの目は遠くを見て虚ろ。まさかと思い、聞く。

[ひょっとして…AZ?]

それしかあり得ない。

[AZもパルも同じだが、今はAZだな]

俺は思わずパルから距離を取った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ