現実.114
さらに一日経つ。何も起きなかった。小屋の屋根に登ってみた。何も無し。新しい考え事は、ダビデ以外にもこういう隠し場所や隠れ家を用意してるグループがいるはずだ。と思い付いた事位。
一年は長い。トニ達はまだ小屋から出て来ない。それだけ志織の居る場所は激戦という事か。
トニのパペット達が俺の所に来るのは、本体のトニ達が安全な場所にいる時。もしくは何か悲劇が起きた事を知らせる時。
摂取も必要になるから三日、四日後には出て来るだろう。ここら辺りにゾンビや人間は居ない。
殺した四体はそのままだと狙撃された事が分かってしまうとの事で海に投げ捨ててしまった。
過剰な摂取はそのまま排出してしまうから無意味。取っておくべきだったか?
遠くでキラリと光ったのが視野に入った。慌てて地面に伏せ双眼鏡で覗く。
まだ朝方なので気付けたが昼間の明るい時では見逃すところだった。
ポピュレーターの光ではなく、バイクだった。バイクに太陽が反射。その後から大型のバンが二台。ポピュレーターだとは思う。双眼鏡を外したが遠くて乗ってる人の発光までは分からない。がほぼポピュレーターだろう。
車で来られたらお手上げだ。
もしバイクや車ではなく、装甲車や戦車だったら、とても敵わない。手榴弾をたくさん投げられてもおしまい。
狙撃で一人一人倒すなんて甘かった。
バイクと車は去り去り見えなくなった。俺は充分待ってから、急いで小屋から百メートル離れた辺りの場所を車一台分の穴を掘る事にした。
疲労はないから、至る所に掘りまくる。
毎日穴を掘ろうと思った。どうせやる事はない。
倒したポピュレーターのパーティクルを全部回収してくのは難しいと思う。
こないだのトニ達は三メートル位まで近寄っていた。
気球にでも乗って激戦区の上空でパーティクルを回収した方が早いような気がする。
何故奪い合う?ポピュレーター同士が奪い合うのは役目ではない。たくさん集めれば長くこの世界に留まる事が出来る。その私欲の為なのか?
秦の始皇帝のエイ。マヤ文明の長、バイ。エジプト時代の王様カニ。カーリー。ポピュレーターの頂点者。無敵だと聞く。近寄るだけで殺されるという。皆がそれを目指してるのか?
やはりAZの元には還りたくはないのだろうか?
自分のパーティクルを増やす為に、何百年も待ち続けたチャンス。
人間は愚かだ。人間の私欲で地球を危機に追い詰める。だがそれはポピュレーター達にとって、寿命を増やせる唯一の機会。ポピュレーターの為に人間を作ったのか?




