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現実.113

お腹も空かない。喉も乾かない。寒さも暑さも感じない。痛みも感じない。傷付いても治る。人間の倍以上の筋力がある。

人間から見れば便利な身体。ポピュレーターから見ればそれが普通。

人間は弱い。脆い。だがポピュレーターは人間が作った銃や武器を使う。


いつかは人間の世界になる。生き残ったポピュレーターはまた身を潜めながら生きる。再びこのような時が来てパーティクルを回収する為だけに生きる。何百年も待ち続ける。その為に存在してる。


頭を振る。現実に無関係な考え事に夢中になる。


テーブルを一つ取り出し、小屋から二百メートル位の所に横に置き土をかける。

這いつくばれば半身を隠せる位の山にした。だだっ広い湿地帯で狙撃されたら敵はここに身を隠すだろう。走って近寄る以外の選択肢を与える。一瞬でも立ち止まってくれたらチャンスが一つ増える。

俺が困るのは向かって走って来られる事。


罠がある。と思わせる為にワイヤーを張ろうかとも考えたが、あからさまに小屋に居る事が分かってしまう。


より多くのパーティクルを吸収しに自ら激戦区に来るポピュレーター達が、数体の発光の小さな俺達を倒しに来るとは思えない。

ポピュレーターの多い場所で戦うはずだ。


自分を守る為に置いた鉄箱にも土や草をかける。それでも違和感がある。

悩んだあげくに、鉄箱を小屋に戻す。

その代わり、うつ伏せで隠れられる位の穴を掘った。


銃の練習をしたいが発砲音が出る。崖下の海岸なら波の音でマシだろうが、見張りが優先なので離れるのは無理。


掘った穴にうつ伏せになり見張りながら、戦略を考える。時間だけはたくさんある。


再び夜になり、朝が来て夜になる。

トニ達は小屋から出て来ない。

俺は飽きもせず全ての時間、外一面を見渡している。誰も来ない。不定期に身体の屈伸をし、たまに銃をいじくる。

耳をすませても、近くにいる鳥の声と波の音。それ以外は何も聞こえない。

遠くで争ってるはずの発砲音や爆破音は聞こえない。


何も起きない事は平和な事。退屈は平穏な証。


このまま時間が過ぎて欲しい。



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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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