現実.108
岸に上がるとすぐにダビデのパペットが言う。
[着替えに行く]
そしてすぐ、びしょ濡れの俺の背中に乗った。ダビデのパペットの力が抜けたので俺は慌てて支える。
多分、俺の自己嫌悪を見抜いての事。間が空くと絶対に気分が沈む。考えさせない為にすぐ行動させる。ダビデに見抜かれたので、有難いとは思わないが、冷静にはなれた。
パペットの発光は薄いがシェーリーのトニやパル、志織は明るい。居場所は遠くから丸分かり。隠れても無駄な事は分かっている。
近くで小刻みな発砲音。俺は反射的に身体を低くする。
[この辺りは大丈夫だ]
パルが言う。だが誰かれなくとも走り出した。
俺は自分の利点を考えながら、志織達の後をついて行く。
やるべき事を考える。
まず俺の発光は凄く暗い。人間とほとんど変わらない明るさ。トニの言った言葉を信じる。
暗闇で服装を変えたら人間だと勘違いされる可能性が高い。明るい所だとまず分からない。他には…。
他の利点が思い浮かばない。
波がかかる岩壁を皆、軽々と進む。波しぶきを浴びながら沿ってくと洞窟があり、中へ進む。
志織達が明るいので懐中電灯とかは要らない。
急な勾配を登ると敷板があり開ける。小さな納屋に出た。
既に到達しているポピュレーター達。部屋の半分は段ボールと木箱で占領されている。
箱の中には銃。靴。革手袋。ナイフ。戦闘に必要な物がたくさん詰め込んであった。
志織も濡れた服を脱ぎ始めた。小ぶりだが凛と張った乳房が目に入った。すぐに目をそらし、不自然にならないように下に置いた服を取りそのまま後ろを向く。
俺の前で裸になった事は今までに一度もない。トニもパルも一向に気にしないので、俺は意識を志織に向かないように着替える。
ダビデのパペットも平気で脱ぎ始め、着替え出す。
俺に性的興奮は無いのだが、妙な気恥ずかしさは感じる。
これから生死がかかってるから興奮してるのか?そんな事を思いながら靴紐をきつく縛った。




