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現実.103

意識が戻り目を開ける。眩しい光で目をつぶる。一瞬だけ夢を見たか、記憶が跳んだ気がしてる。薄っすらと片目を開ける。目の前に志織が立っている。眩しい光をまとってる。そして色は赤かった。

俺は慌てて起き上がる。身体に違和感はない。


志織の背後にトニとパル。そして知らない女性。他にも数人。誰もが赤く発光していた。


[何があった?]

俺は尋ねた。志織が落ち着いているから、俺も慌てはしなかった。俺の問いには誰も答えない。

[AZには会った?]

その代わり知らない女の質問が返ってくる。

目付きが切れ長で唇が厚い。首筋が細く、一瞬クレオパトラを想像した。俺は首を振る。

[よく思い出せ。記憶を思い出すんだ]

知らない女性が再度質問した。

大人しそうな雰囲気ではない。闘争心というか戦場にいる雰囲気を醸し出していた。女戦士という言葉が当てはまる。


[一瞬だけ記憶が跳んだ気がしただけだ]

真実を言う。トニもパルも落ち着いている。危機感は感じない。身体もいつも通り変わらない。その女性の眼光が鋭い。タオの女性版と思った。

[本気で思い出せ。何を感じた?]

女性は身じろぎせずに言う。


[分からない。なんかあったような]

とりあえず口にする。その女性は必ず俺に何かあったと確信してる口調。

俺が記憶に無いだけかもしれない。

[必ず思い出せ]

女性はそれだけ言った。

その女性も志織も眩しく光っている。それでやっと気付いた。

[シェーリーになったのか?]

俺は志織に言った。志織は小さくうなづいた。


なんで?と言おうとした矢先にトニが口を開いた。

[役目破棄はダメなんだ]

[いつから?]

いつからこんな事を計画した?志織はどうやってパーティクルを増やせた?俺はなぜ首を切られた?色々な疑問が浮かぶが言葉に出せたのは最初の疑問だけ。


[志織が放棄する気だと思ったのは日本に住んだ頃からだな。お前は今までの志織を知らない。志織が何故人間の少ない日本に居つくのだ?答えは簡単に出るだろう]

その女性が答えた。

[ダビ?さん?]

俺は思い出した名前を言った。志織の小説の中で出てきた女性の名前。立場が上のようだった。現実も明らかにトニやパルが従ってる。そして志織も文句は言っていない。

[ダビデだ。志織から聞いてたのだな]

ダビデは確認の為に聞いた感じだった。


[我々の存在はパーティクルを回収する事。役目を果たさないポピュレーターは消えてしまう]

咎めるような言い方ではなく諭すような言い方をしてる。


なんとなく理解してきた。

多分、最初からトニかパルか分からないが、志織をシェーリーにする計画。ダビデの命令によって。


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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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