現実.95
[パペットは自分のポピュレーターを守る事と予備の為。でもヒロは分からない]
俺の役目は志織を守る事。そしてずっと一緒に居る事。そう思いたいがそれは俺の願望。
[まぁ深く考えても仕方ないよな。とにかくAZは寛大だ]
トニが話題を変える。
確かに考えても仕方ない。正解はAZのみ知っている。
[人間は人類を存続させる事が役目。志織達ポピュレーターはパーティクルを回収するのが役目。でも終わってもこの世界に居られる。次のパーティクルを回収する時の為に。パペットは守る事と予備が役目]
俺は頭の中の思考を言葉にする。
なら、ひょっとして…。具体的にはならない思考。
[何か思い付いたのか?]
トニが言う。俺は首を振り誤魔化し話題を変える。
[トニの言う通り。考えても仕方ない。これからどうするか。やるべき事を考えよう]
やるべき事をやる。それしかない。
[ヘリは動かせるの?]
俺はパルに聞き、パルはうなづく。
[どこに行く?中国か?]
トニの言葉に誰も返事しない。最初に口を開いたのはパルだった。
[海に行きたい。サーフィンしたい]
俺も志織も、思いもしなかったパルの意見に軽く驚く。
[サーフィンか。やった事ないが面白そうだな。行くか]
トニが賛成する。
多分、パルはこの一年で終わる。だからやりたい事をしたいのだろう。
志織は反対しなかったので俺も反対しなかった。
[沖縄の島がいいね。宮古島のシギラって場所。色々な所に行ったがあそこならパルも気にいる]
トニの言葉でやる事が決まった。
食料探しと水着やシュノーケル。海水浴の準備。
島は人間もゾンビも少ないだろう。
俺達はとりあえず逃げる事を選んだ。
[トニは大丈夫なのか?]
俺はトニに聞いた。トニは回収したいはずだ。
[大丈夫。志織が消える前までに、きっとヒロが地球の危機を作るはずだから]
トニはニヤリと笑った。




