志織の小説.19
大地の震えが止む。
[何故お前と友達にならなければならぬ?]
[貴方はずっと独りだったからよ。疑問を返す相手も自分だったから。答えは一つだけじゃないのよ。間違いが正しい時もある。信じたモノが間違いになる時もあるのよ。それを知るには、自分以外の声を聞かないと分からないわ]
[だからAZはたくさんの意識を創りあげたの。私達ポピュレーターをね]
[何故お前は分かるのだ?]
[私がAZだからよ。。。ウソついたわ。ごめんなさいね]
私の言葉にエイは大きく笑った。しばし笑った後に口を開いた。
[確かにお前の言葉には理がある。それに愉快な気持ちになれたのはいつ以来だ?よかろう。ワシと友達になるのだ。バイに脅されておるのか?友達として助けてやろう]
[ありがとう。でもごめんなさい。それもウソなの。でももう二度と貴方にウソはつかないわ。だって友達だもの]
私は丁寧にお辞儀をした。
エイは声を出さずに喉元で笑う。
[お前の名前は?今までの名前も教えてくれぬか。興味が湧いた]
[今の私はシオリ。前はシリ。そして一番最初の名前は…ユダ]
私は素直に答えた。
[キリストを操ってたのはお前か]
エイは驚いて言った。私はうなづく。
[友達にはウソはつかないわ]
ダビもパルも驚く。
[どういう事?]
ダビが思った事を口に出す。
[ここに居る人は皆友達。だから素直に答えるね。もちろんトニも友達よ]
[私はユダの記憶を持ってるの]
私は静かに言った。
確かに生きた年月はエイやダビより少ない。だが記憶はエイやダビよりもっと長い。
私はユダではないが、ユダの経験した事、記憶、感情を持ってた。
[お、俺も友達でいいのか?]
トニが恐る恐る聞いた。
[えぇ、もちろんよ。私もトニを騙した事があるしね]
私は笑って言った。
[一つだけ貴方に聞きたいの。なぜヒロを欲しがるの?]
私はエイに聞いた。
[この男は無限ともいえる量のパーティクルを保てるのだ]
エイは言った。
[ヒロの中のパーティクルはAZに吸収されないわけ?]
[人間だからな。しかも死なない]
エイが答えた。
私はやっと納得がいった。
[友達をもっと増やしましょうよ。バイやカニはどう?]
私は笑って残りの爆弾を放った。




