志織の小説.17
私の今までのハッタリはオトリ。煙幕。
ここから本題に入る。
[貴方は何をしたいの?アズィにはなれないわ。それにもう一万年以上は生きていけるでしょ]
ヒロから話題を逸らす。逸らせば私の勝ちだ。
[小娘に話しても分からん]
食いついた。もし食いつかなかったらヒロの事を言い出すはずだ。ホッとする気持ちを抑える。
[人間界の神になりたいのね]
更に話だそうとするエイの言葉に重ねるように言った。
私の言葉にエイは黙る。やはり当たってる。
だが、なぜ自分が人間の神になりたいのかをエイ自身は知らないはずだ。
尊敬されたい。偉くなりたい。畏れられたい。
そこまではエイ自身も分かる。だがなぜその気持ちが起こるのかをエイは知らない。
エイのその気持ちは私はよく知っている。過去にエイのようなカーリーがいたから。
エイだけでなくてもバイやカニの気持ちもよく分かる。同じだ。
[たとえ人間の神になっても決して貴方は満たされないわ]
私はどんどん爆弾を投げつける。
[何故だ。何故お前に私の何が分かるというのだ]
エイは困惑という怒りに満ちている。
自分の知らない事を他の誰かが知っているという事が理解出来ない。許せない。
何万年生きていても、知らない事は分からない。
思っていた通りだった。頂点に居る者の弱さ。強者ゆえの弱み。自分の背中を直接自分で見る事は出来ない。
[分かるわ。私は得たもの。貴方が手に入れたい物をね]
[お前は何を持っている]
ヒロよりも得たいのだろう。自分の本当の欲するモノを。
[私達と永遠の友達でいましょう]
私は本当の爆弾を落とした。




