志織の小説7
ヒロが危機感を感じ身体を鍛え始めた。
冬の間、ヒロは無我夢中で毎日、身体を動かしている。
温泉と小説を書き続ける冬はあっと言う間に過ぎていく。人間はもちろん、ゾンビも来ない。静かで平穏な毎日。
私もそうだが、他のポピュレーターもどんどん回収し、各々のパーティクルも増えてる。そのせいでもっとポピュレーター達の行動がより目立つようになるはず。
私は今回の審判は不参加するつもりだった。
ヒロの身体の使い方が上手くなっていく。
私のパーティクルを分けてあげたくもなるが、ヒロがそれに耐えられるかが分からない。
壊れると意味がない。それに壊したくもない。ヒロは私の半身。彼とは一つだけど一つにしたくない。
トニと合流するか、ダビに頼むか悩みながら、ヒロに行き先を決めてもらう。
行き先は関西。暖かい地方へ。ヒロが決めた。
トニと合流する。トニは私とヒロの関係を知り最初は驚いたがすぐに楽しみ始めた。この余裕というかゆとりをタゥオーも持って欲しい位だ。
ヒロはトニの教えを素直に教わる。
ダビが現れ、地方の方を回収するように言われる。
ヒロはここで初めて私に質問した。
私は素直に全てを話した。
最終的にはヒロはうなづいてくれた。
私を守る事を第一と考えてくれている。それは今までもこれからも変わらない。と。
私も当然、ヒロを守る事を言った。
ヒロを失うのは私の半身の片手片足を失う事だから。
トニと別れ、九州の方に向かう。
なんだかんだ6年が経つ。ヒロは私にどんどんパーティクルを回収しようと提案した。
パーティクルを回収すればするほど私の危険は少なくなる。
それは分かっている。でも私はヒロに守られたい。
私を私が守れるようになればヒロはきっと、自己を否定するだろう。
私が自分で身を守れるようになればヒロは生きてる価値と意味を失う。
まだヒロは私とヒロは一つ。という意味を理解していない。




