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現実.82
[昔はそう呼ばれた時があったわ]
[それって冗談だよね?]
[当たり前じゃない]
志織は真顔。
[少し考えさせて]
俺の言葉に志織がうなづく。俺は表に出る。
突然、人間がゾンビになり、俺だけがゾンビの身体の人間になった。
俺だけかと思っていたが、タオや、こないだ見た人間離れの人間がいた。
それはまぎれもない現実だ。
志織はどこから見ても人間。
排泄もするし、血も赤い。痛みもあるし、食べないと痩せていく。
大きな病気や怪我はしてないが、擦り傷や切り傷は多々ある。足にもマメが出来ている。
爪も伸びてるし、髪の毛も伸びてる。
特殊な所は全く見ていない。
違う所はあの年齢で、やけに大人びた性格。でも、それは生活環境のせいだと思ってる。
小学生が援交や万引きをする時代。別に居てもおかしくはない。
空にアイポが居るというが俺には見えないし、ゾンビは志織を襲う。
かなり色々考えたが、分からず。結局やるべき事を考える。
志織の安全。食料の確保。つまり志織の生存だ。
たとえあの小説が事実だとしてもそれだけは変わらない。
あれは志織の才能だ。




