現実.77
志織が起き出し移動。冬の間の拠点探し。
結局、地図で一日歩けば着く距離の温泉街に。そこから更に数時間山道を行った秘湯の場所。そこを冬の拠点に決める。
雪さえ降れば人間は通れなくなるだろう。
温泉は寒さ対策と飲み水の確保で冬篭りには最適。
温泉街は人間がいた形跡があり、ひょっとすると今も人間が居るかもしれなかったが、温泉街から秘湯への道は道でなくなっていた。誰も通っていないと一安心する。
ゾンビの数もそこそこ居て、町から志織についてくるゾンビの数も多い。
どの建物も周りがツタでビッシリと覆われている。
三年も人の気が無いとこれほどまでに朽ちてしまうのか。と思った位だ。
駐在所。取り調べ室が質素だが小さな窓に窓格子があり、ドアも頑丈。
鍵もあるが、中からではなく外から鍵がかかるドアノブ。
暗くなるまで物色し、夜に志織をそこに匿うべきか考える。イマイチ。
他にこれといった拠点も見つからない。
結局、道なき道の秘湯を目指す。
かなり四苦八苦し、秘湯の場所に辿り着く。途中、倒れた大木が数本ありゾンビは足止め。
ゾンビが来るまでに、小さな小屋の修復をする。
露天風呂は熱くなっていて入れない。
水をひたすら出しっぱなしにしてようやく綺麗な水になった。
とりあえず冬は大丈夫そうだ。後は志織の食料だけ。
ウサギを見かけたと志織が言う。
ポケットに小石を入れておく。
細い小川があり、小さな魚がいる。以前読んだ本の中の魚獲りの罠を作ろうと思う。
やる事は多く練習もしたいから、今回の冬はあっと言う間に過ぎるだろう。
数日かけての拠点作り。布団が使い物にならなくて、何度か温泉街まで往復。
人間が居るが攻撃的ではなく安心。摂取するゾンビの数も多い位。
秘湯への道の大木はそのままにした。
志織が小説書いたよ。と笑いながら携帯電話をチラチラ見せた。俺は荷物整理を辞めて、携帯電話を貸してもらう。
やっと読ませてもらえる。




