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現実.72

朝日で空が明るくなる頃、志織が起き出し、あの頃と変わらない同じ一日が始まる。欲しい物資を探しながら歩き続ける。

包帯が見つからず、シーツやタオルを口と頭を覆う。服もフードのある服を着るようになった。


都会はゾンビが減り、人間が多くなると思っていたが、人間の数も減っているように感じる。

死んだか、人気のない田舎に行ったか。そのどちらか。その両方。


俺からみればこの傾向はありがたい。

ゾンビより人間の方が怖い。だが疲労しきった人間を見かけるとそれも杞憂で終わりそうだ。

でもこれだけの荷物を引いて歩いてるのだから、いつ襲われてもおかしくはない。それに連れは女の子だ。


フルフェイスヘルメットは音が聞こえずらいので首にかけている。いざという時にかぶる。


日に日に涼しさが増し肌寒くなりつつある。

また、どこか人里離れた場所で一冬過ごそうと考えるが、今ある食料だけでは足りない。


俺は冬の方が利便でいい。

ゾンビを凍らせて食べれば汚れないし、左腕の腐臭も少なくなる。


突然かなり近くから発砲音が聞こえた。

俺と志織、一気に緊張感が高まりしゃがみ隠れる。


銃声は一発だけ。


耳をすまし、神経を張り巡らす。聞こえてくるのはゾンビのウロつく音と驚いた鳥達の声。

人間の声は聞こえない。


銃声はそれきり。ゾンビ相手によほどの事がない限り銃は使わないだろう。


考えられるのは人間相手。と思い込んでいたら[自殺?]と志織が言った。

その可能性もある。夜なら人間と出くわす可能性があるが、昼間は誰もが隠れている。

俺達は音の聞こえた方へ向かう。

人間の居場所はゾンビの動向である程度は分かる。


マンションの中に入っていくゾンビを見つけ俺達も中に入る。

階段にバリケード。ゾンビがかなりいる。人間がいる証拠。俺達にも志織目的のゾンビが三十体以上付いてきている。これ以上狭い場所は危険過ぎる。


マンションへ出入り出来る場所が必ずあるはず。表に出てマンションを調べる。


マンションの二階のベランダにハシゴがあった。多分ここから出入りしてるのだろう。


志織を塀の上にあげる。俺はロープを取り出し、うまくベランダに引っ掛けよじ登る。

木から木へ飛び移ったり色々と身体を動かしたせいで、器用に登れた。ハシゴを降ろす。

ゾンビに近付き、ゾンビを散らばせる。俺が近づくと逃げて行く。志織をハシゴに登らせ、俺も登りハシゴを上げる。



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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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