小説.72
網袋が足りない。思ってた以上にあった。嬉しい誤算。
動かせるショーケース。そこに詰める。
天井にスナック菓子が浮いている。
コンビニの倉庫にダンボール箱に入ったジュースを見つける。触るとダンボール箱が崩れ中に入ってた缶が転がる。
一回では運びきれない。
ゴミ箱を空にしそこに詰める。階段まで持っていく。
網袋から中身を取り出し階段に置く。
コンビニで網袋にスナック菓子を入れる。
向こうのホームにもコンビニがある。
ここは宝の山だった。誰も入れない。俺しか入れない。
何回か往復し、コンビニの飲み物、食べられる物全てを階段に置いた。
水から出る。鼻と口から水が出る。一気に気が遠くなる。今までで一番辛い。酷い気持ち悪さ。脳が酸欠を起こしてるっぽかった。もしくは一気に酸素が入ったせいか?
なかなか治らなかった。志織はただ、大丈夫かと心配するしか出来ない。
次からは潜水服をちゃんと着ようと思った。
結局三時間くらい二人、暗闇の中にいた。
やっと治りかけて俺は凄く安心した。
物凄く気持ち悪かったのだ。
左腕があっという間に水膨れになる。
[潜水服、必要だね]
志織の言葉に俺はうなづく。素潜りはもうゴリゴリだった。




