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現実.65

手の平が剥けて休み、治るとまた木に登る。

手袋が必要だ。やっていくとコツが分かってくる。

力の分散がとても重要。木から木へ飛び移るのに手や腕の力だけではダメ。肩の筋肉を意識し、背中の筋肉も利用する。下半身の体重による遠心力も使う。

体操選手に教えてもらいたい。本屋に体操の教科書とかあるのだろうか?


テレビで何気なく観ていた体操の動きを思い出す。全身をバネにしていた。

飛んでる時は力を抜いてるように見える。

着地の衝撃を足だけでなく身体全体に分散するようにしていた。


滑って落ちる時も背中からではなく、身体をひねって足から落ちるように意識する。

なかなか難しい。が面白い。


少しずつ上手くなるのが分かる。

身体を動かす。当分、やる事が出来た。


イヤな気分が減るとタオやシェーリーの事とかが気にならなくなる。思考の優先度が低くなる。


俺の人並以上の力を充分発揮出来た方が役立つ。

志織を守れる確率が高くなる。


木の上で逆立ちをする。バランスを取るのが難しい。頭に血が集まるのが分かる。


けっこう我慢し地面に飛び降り携帯で自分の写メを写す。白くはない。薄いが人間の肌に近い。だがすぐに白くなる。


色々な発見があり時間はあっと言う間に経つ。


そろそろ朝飯を持って来るだろう。

服が木にひっかかったりしてボロボロなのに気付く。肌にも木切れが刺さってる。

イヤな気分は無くなっていた。

出来ればタオ位の力を身につけたい。

そんな事すら思える位になっていた。


身体を動かしたせいか、考え過ぎなくなる。そうすると自然と周りの気配に敏感になる。目の焦点が広がる感覚。

誰かが来るのに気付く。コンテナの窓から覗く。志織がフェンスの向こう。三浦家の私道から歩いて来るのが見えた。


この焦点が広がる感覚をもっと広げたい。志織の存在は、小さな違和感が視界の隅に見えた感じで、気付けた。




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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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