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現実.54

たまに信長がゾンビの頭めがけてバットを振り回す。ちゃんと加減はしてるのだろう。血しぶきが飛ばない程度の力で振り回している。


俺はそのままにした。信長を見た他の人間は決して近寄らないだろうと判断したからだ。

[最初はスポーツ用品店]

とスポーツ用品店を指差す。目的はゴルフバッグ。あるといいのが登山バッグ。が登山バッグは期待はしない。

信長は文句を言わない。バットやゴルフのドライバーとか欲しいのだろう。


五個のゴルフバッグを用意する。リュックは一つも無かった。

信長は案の定、自分のゴルフバッグに選んだゴルフのパターやドライバーを詰め込んだ。ゾンビ殺しは俺に任せろ。というように。


どの店舗も空だった。民家を中心に家探しする。信長はあまり興味がなく、適当に家探し。

たいして収穫はない。


三時間経ち、拠点に戻る。

窓からミズホさんが覗いてる。後で注意しなくてはならない。他の人間に見られる可能性が高い。

信長もその事に気付いたようで舌打ちをした。


確かに信長は役に立つ。でもツトムさんは役立たずだと見切った。

三浦家の中では役には立たないのだろう。


部屋で集めた物を仕分けをし、夜通し歩く事を説明する。

使わない物を置いてく。


俺はツナギとヘルメットに着替える。

信長が、クソ暑いだろうが。と笑う。

俺は、暑い。と答えとく。信長は更に笑う。

気分良くさせておく。人間に出逢った時に気分が乗らないと動かないかもしれない。


懐中電灯を点けなくてもオーロラと満月の明るさで外は大丈夫だった。が、店内や屋内は懐中電灯は必須。

ゾンビのうなり声だけの静かな世界を六人黙ったまま歩き続ける。


たまに信長がゴルフのドライバーでゾンビの頭をぶん殴る。パターは気に入らないらしい。一回使っただけで他のパターも全て捨てていた。

明るい発光が横に広がっている。多分、人間で複数居る。俺は止まった。信長君。と声をかける。緊張が伝わったのか信長もおとなしく従ってくれる。

俺は信長に人間がいる方を指指した。

信長は俺達に、待て。という手振りをし、慎重に近寄って行く。

俺は他の皆に、逃げ道を指差す。ヨウジ君が、わざとではないが気付かず何かを蹴っ飛ばしたみたいだ。大きな音が響く。

身を隠す。信長が俺達を睨む。


向こうの人間が気付き、こっちを凝視する。

[悪りぃ、悪りぃ]

と信長が立ち上がり両手を上げて言った。

[すぐ立ち去るからよ]

と後ずさりする。

向こうの人間は何も言わない。近寄りもしない。多分、大丈夫だろう。


違う道を歩く。信長が悪態をつく。

俺も他の人も黙ったまま。




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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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