現実.46
小説を書く手を休めた。
ゾンビは健康な人間から襲いだすものだと思っていたが、違っていた。あんなにたくさんのゾンビに囲まれたのは、あれっきりだった。
何度か快適な居住区に居たが、あれほどではなかった。
すっかり忘れていて、書いていて思い出したのだ。
寒くなると山の奥のスキー場のホテルに篭って一冬を過ごした事もあった。
水には困らなかったし、薪で炊く五右衛門風呂が名物のホテルで毎日、風呂を沸かし、快適に過ごせた。遠出もせずに、外にいたゾンビも凍りつき安全だった。
冬は東北方面で過ごし、夏は関東ですごす。このローテションだったが、関東は民家や住宅をよほど家探ししないと食料が見つからなくなった為に、田舎に向かい三浦家に辿り着いた。
今もずいぶん甘く考えてる部分がある。
いつかどこかで大きなミスをしそうで怖い。
慢心してるつもりはないのだが、やはり無意識にどこかで過信してるのだろう。
ゾンビの数も減った分、人間に襲われるようにもなった。
ゾンビの真似をし、身体を白く塗って行動する人間もいた。
最初の頃のように単独行動ではなく集団行動が多く見かける。
ゾンビも汚くなったが、人間もずいぶんと汚くなった。
それだけ、病気の対抗も強くなって精神的にタフになってる。人間というより動物に近い。
三浦家と刑務所に住めてる人達だけだろう。身体を洗ったり笑顔のある生活をしてるのは。
俺は、携帯電話を開く。




