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小説.63

志織は翌朝早く目覚めて、ドレッサーの引き出しをずっといじってる。指輪をはめたり、ネックレスを眺めたり。

俺は一階と周りを探索しに行く。お昼には一回戻ると言った。

志織は時計を俺に渡した。カルチェの時計。いくらするのだろうか?


普通なら、これ一つで持ち運べないほどの食料が買える。今はどうだろうか。

同情で未開封の二リットルペットボトルの水一本か二本か。


朝方ギリギリに外に居る人間は比較的おとなしい人間。

夕方の方が人間が多いから、ゾンビより人間を恐れてる人が朝方動く。出逢ったとしてもお互いが避ける為に危険率は低い。

真夜中は外ならオーロラの光で暗くはないのだが住宅内は真っ暗。懐中電灯がないと話にならないが他の人間にもバレてしまうので、知らない建物には極力入らない。


ゾンビが活動しだす時間まで、このマンションの一階とエントランスを探索。一階の廊下は荒れているものの人の気配がない。志織を追ってきてるゾンビはいるが、認証のあるロック式のドアなので、ここまでは入ってこれない。セキリティは万全だ。

地下駐車場から出て、エントランスの方に向かう。ゾンビも多いが、かなりの遺体もある。ほとんど白骨化してる。

ゾンビに近付くがゾンビは俺から逃げない。今日中に摂取しとかないといけない。

警備室は空いていたが、めぼしい物はなかった。鍵も探したが電子カードキーしかなかった。他の鍵もあったがダストボックスや電源室の鍵とかだと思う。部屋の鍵と違っている。地下の出入り口の鍵があるかもしれないので、全て持ってく事にする。


外はゾンビが多かった。志織目的で集まってると思う。どんなに高い所でも分かるらしい。これは逆に地下も同じ事かもしれない。動かずにいるゾンビが多い場所の地下には人間がいる。という事か。


どんな場所だろうとゾンビは人間を見つけるみたいだ。襲えるかは別として。


探すモノは、水。食料。薬品。漫画か小説。電池は多分、部屋の時計にあるはず。あとは固形燃料と簡易ガスコンロ。


俺は志織に水ではなく、温かい風呂に入れさせたいと思ってる。


どこで摂取するかを考えながら歩いてると、ゾンビに腕を掴まれた。幸いにも左腕。今日中どころか今すぐ摂取しないと大変な事になる。俺を噛もうとしたゾンビの顔を掴み思い切りひねる。頭は反対側に曲がり俺に寄りかかるように倒れ込む。急いで足も使いながらゾンビの腕を引き千切る。他のゾンビも近寄って来ている。千切れた腕はまだ俺を掴んだまま。そのまま逃げる。近くのオフィスビルの階段を上がる。逃げながら千切れた箇所から喰べる。掴んだ手はなかなか離れない。ゾンビの指が俺の腕に食い込んでいる。オフィスの一室。カッターを探し、俺の腐りかけてる左腕を切る。骨は切れないので叩き折る。片腕だけじゃ足りない。階段を入ろうとしてるゾンビの頭を掴み、壁にぶつける。頭が割れて脳みそが飛び出る。

服を破き肩辺りにかじりつく。上がってくるゾンビを蹴り落とす。

周りを見回しながらゾンビにひたすら噛みつき、むしり咀嚼する。その姿はゾンビそのもの。仕方ない。噛むのももどかしく、無理やり呑み込む。ちゃんと骨も喰べ、血を吸う。どうせ汚れたのだから、摂取もきちんとしとく。二度手間はごめんだ。それに志織もいない。

なりふりかまわずでも誰も咎めない。


喰べ終わった俺の身体は血まみれ、赤黒い肉の破片や、黄色い脂肪まみれ。

吸収し、再生するまで時間がかかるのでオフィスの部屋をうろつく。めぼしい物を探す。

何個かの魔法瓶に水。コーヒーサイフォンの水。トイレにトイレットペーパー。制服。

洗い流す水は少ないが、これでなんとかするしかない。

三階建てのオフィスビル。三階はカギがかかっていた。ガラスを割り中に入る。


ローン会社のオフィス。使える物はない。

オフィスから外を覗く。人間はいない。周りのビルを見る。見てる人間はいなさそうだ。



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ゾンビサバイバル.番外編も書いてます。
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