現実.43
充分な量の矢を作り、次は弓を作る作業に入る。
ポストの色が変わってる。ポストの下には糸がたくさん置いてある。
俺は矢をポストに置き、弓を作り始める。
威力はないが、威嚇や牽制にはかなり使える。
人数が多い方が勝つ。だが、拳銃一つで形勢はあっけなく逆転する。弾が入ってなくてもだ。
毎日、どこかで人が死んでいるはず。
最初に比べ、ゾンビに襲われて死ぬより病気で死んでく方が多い。あと数年もこのままだと餓死もあり得る。
それでもまだ命の価値は下がらない。
ゾンビの居ない自給自足出来る環境。水源もあり、薬があり医者がいる。
多分、それが現時点での一番安全な場所なのだろう。
三浦家が最も適している。
退屈だと思える生活。人間関係で悩む日常は幸せな生活なのだ。
ここが求めていた地なのか?
まだ分からない。ここに来てまだ二日目。
今はまだ持ってきた生活用品がモノを言っている。小分けにして渡すべきだったか?
一人で勝手に探しに行くのも、ここからだと時間がかかり過ぎる。
夕方に男達が降りて来た。ツトムさん達に弓矢を試してもらう。
ツトムさん達が矢を射ってるのを眺める。
悪くはない。近付かないと殺傷力はないが充分に使えてる。練習する時間は山ほどある。
[盾もいるな]
ツトムさんが言った。
そう、俺が弓矢を思い付き作れるという事は当然、他の人間も同じ事を考えてるはずだ。
実際になんでも、やってみないと分からない。弓矢も頭では簡単に作れそうだったが、実際は難しかった。思ったより威力はないし、すぐに壊れる。




