聖剣に斬りかかった
Side恵一
「ん?ぐ、ぅぅぅぅあぁぁぁ!」
自分の中から、何かが解き放たれる。
何だろう、これ?
「って、あれ?僕何してるの?」
僕は、黒っぽい紫というか、白っぽい灰というか何か解らないオーラを纏っていた。
「な、ななななにこれ!?」
「おお!勇者様!お目覚めに成りましたか!」
「は?」
-----は?
「「「「「は?」」」」」
あ、今心が1つになったよ。
嬉しくないけど。
「さっきの輩は、魔族と呼ばれる者の王魔王でございます。」
「いきなり態度が変わりすぎじゃない?」
「数々の無礼、謝らせて頂きます。そして勇者とは聖剣に選ばれた者のことを差します。」
「いや、聞いてる?耳有るの?」
「耳は有りますよ、勇者様。
そして勇者とは異世界から召喚される事もあり、この世界から選ばれることも有ります。
最近は、と言ってもここ百年程は勇者召喚を行っております。
そちらでは、強い《スキル》を神から奪えますからね。」
「は?」
-----神から、奪う?ああ、そう言うことか。デュアルの奴、いつもはもっと喋るのに何で喋らないのかと思ったら、悩んでたからか。そうかそうか。
「大丈夫ですぞ。神と言ってもこっちの世界にはあまり干渉しないようですから。」
「大丈夫じゃないと思うんだけどなぁ。」
「何がですか?聖剣を持ってこい!」
「いや、何でもないですよ?はい?」
神の頂点がここに居るよなんて言えませんよ!?
てか、言ったら竜神に殺される気がする。
「こちらが聖剣でこざいます。」
-----ハハ、ハハハハ。さて、どうやって苦しめる?聖剣をこわすか?この王国をぶっ壊すか?それとも……
「へ、ヘェぇ~。そそそそそそうそうなんだぁ~!!??」
「だ、大丈夫でこざいますか、勇者様。」
「いいや、だだっ大丈夫!うんうん、大丈夫!」
「そうでこざいますか。
では、こちらが聖剣にございます。」
「へ、へぇ、そうなん…」
ぞくっ
と背筋に寒気が走った。
この聖剣、ヤバい!
「《神剣》、天ノ羽切!やぁ!」
僕は聖剣に斬りかかった。
聖剣は膨らみ、王の体を飲み込んで人の形になって避けた。
「うわっ、気持ち悪ッ!」
『カミトニンシキ。ハイジョニウツル。』
-----お、あれは…
「あれはなにさ!」
-----俺達神からスキルを奪う剣だな。触れんなよ?当たんなよ?《不死》が奪われたら死ぬぞ?
「はいはい、わかったわかった!せいやっ!」
僕の剣は聖剣を切り裂いた。
そこから王が出てきた。
「さながら糞だね。」
-----それは俺のセリフだぞ?
「はぁ、はぁ、び、びっくりしました。まさか、貴方様が神だったとは。」
ざわざわっ
となる。
人が少ないからそんなにじゃないけど。
-----なあ、恵一。
「何?竜神?」
-----後始末は俺がして良いか?
「いいけど…」
-----サンキュー。そんじゃ!
「うわっ!」
「よし、こんな感じか?」
「もう、勝手に抜けないでよ!」
「お前が良いって言っただろ?」
「いや、僕は…!もういいや、竜神のやりたいようにして。」
「じゃあ、やりたいようにさせて貰うわ。」
周りは、竜神の事や神の事で唖然としていた。