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#00 プロローグ
見慣れた光景が広がっていた。
空は赤色で、地面の代わりに人の死体が埋め尽くし、空気中は血の臭いで満ちていた。
普通の人ならきっと此処に居られないだろう。
居られたとしても、きっと吐いて吐いて吐いて吐き続け、この臭いに耐えきれなくなって、最期は地面の仲間入りだ。
でも、私は違う。
この光景を見ても何も思わないし、吐きもしない。
だが、ただ一つだけ思うことがあった。
「なんて...馬鹿な。」
私はそんな事を呟いた後、その足を動かした。
何も無いこの世界でただ一人、私という名の元凶は存在していた。