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テンプレなんぞクソくらえ!  作者: 夜城 桂月
第1章 邂逅編
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第5話 盗賊






太陽がだいぶ高い位置に昇ってきた、時刻は9時ちょっとすぎ。

あの初戦闘から数回の戦闘を経て、俺は村に到着した。遭遇した魔物は皆ゴブリンだった。レベルも幾つかあがった。

倒したゴブリンはストレージに全て回収し、どのくらいの数倒したのか確認するためストレージを開くと17体も入っていた。ゴブリンの死体を選択してみると解体という文字が現れた。そのまま解体を選択してみるとゴブリンの死体は、それぞれの部位ごとに分かれて表示された。

まあ、できるだろうと思っていたがこれはなかなか便利だな。

改めてメニューの有能さに感謝し、部位ごとに表示されたゴブリンの素材を見ていると気になる物があった。






-------


ゴブリンの魔石(普通)


ゴブリンから取れる魔石。心臓の近くにある魔物特有の臓器。


-------





それは魔石だった。やはり魔物からは魔石が取れるようだ。旅の準備にだいぶ金を持って行かれてたので、これを売って資金の足しにしようと思う。



村は幅3メートル、深さ2メートルくらいの堀と高さ2メートルくらいの木製の柵で周囲を囲われていた。



門のところから村へ入ると畑があり、その奥に家がポツポツと建っていた。すぐ近くの畑で農作業をしている男がいたので話しかける。



「すまない、魔石を買い取ってくれる場所はあるか?」



「ああ?お前さん冒険者かい?この村にギルドはないが、チー婆さんがやってる道具屋が買い取ってくれると思うぞ。場所はまっすぐ行けば分かるはずだ」



男に例をいい、その道具屋へ向かう。

男の言った通りまっすぐ進むとすぐに分かった。店の外にいろいろな果物が置いてあり、店の中はまさに道具屋という感じだ。


中に入ると老婆が出迎えた。


「いらっしゃい。見ない顔だね。冒険者かい?」


「ああ、そんな感じだ。魔石を買い取ってもらいたい」



店に陳列してある商品を鑑定しながら、返事をし魔石を渡す。



「ゴブリンの魔石かい?どれどれ………」


そう言いながら老婆はカウンターの下から鑑定するための魔道具と思われる物を出し魔石を一つ一つ見ていく。

しばらくするとどうやら鑑定が終わったらしい。



「ゴブリンの魔石が17個でそのうち3つか通常より大きく純度が高かったから合わせて銀貨8枚に銅貨9枚だよ」



金を受け取り、店内を鑑定していて見つかったHP回復ポーションとMP回復ポーションをそれぞれ高品質のもの鑑定を使い選び、いくつか買って店を出た。


この村でやることは特に無いし先に進むか。


ポーションをストレージにしまい、村を出る。

西に伸びる街道を馬車で1日行くと目的地である北西にある街ーーーアキータの街という名前らしいーーーに着くらしいがそちらには進まず、アキータの街の場所をマップにて調べ、直線距離を進んでいくことにする。まあ時間短縮のためなんだけどな。



しばらく草原が続き、マップによるとこの先に大きな森があるらしい。草原の中を何もせず歩いているだけだと暇なのでスキルを取得することにしながら歩くことにした。







***********






2時間後には、さっきの森での戦闘とこの2時間のうちに遭遇した魔物との戦闘、スキル取得のための試行錯誤の末、俺のステータスは劇変していた。






ーーーーーーーーーーー


名前:ジン・トウドウ

種族:人間族

性別:男

年齢:17


レベル:13


HP:420/420

MP:433/610


STR:210

DEF:124

AGI:203

DEX:186

INT:216



スキル:


経験値獲得上昇、異世界言語理解、気配遮断 Lv3、商売 Lv2、剣術 Lv4、魔力操作 Lv3、属性魔法 Lv2、生活魔法、MP回復速度上昇 Lv2、MP消費減少 Lv2、魔力上昇 Lv2、知力上昇 Lv2、遠目 Lv2、聞き耳 Lv2、隠密 Lv2、忍び足 Lv2、回避 Lv3、気配察知 Lv4、索敵 Lv2、跳躍 Lv1、縮地 Lv6、体術 Lv6、短剣術 Lv1、棍棒術 Lv1、投擲術 Lv1


ユニークスキル:


多重領域(メニュー)

能力(スキル)習得簡易

能力(スキル)成長速度上昇

複合魔法



称号:

異世界人、巻き込まれた異世界人、大賢者



ーーーーーーーーーーー






思いつく限りのスキル取得のための試行錯誤と道中に出てきたスライムやボアなどの魔物との戦闘の結果、さまざまなスキルの取得とスキルレベルアップが実現した。

気配察知、縮地、体術が高レベルなのは、累積した経験によるものだ。

レベルは13まで上がり、各種ステータスがかなり上昇しているがそれは偏に称号大賢者のレベルアップ時のステータス上昇値アップ補正によるものだろう。



時計を見ると12時近かったのでストレージから宿でもらった昼食を取り出した。大きな葉っぱに包まれ草の紐で結ばれたそれを開けると中には何かの肉と野菜をあの固い黒パンで挟んだサンドイッチだった。

固いサンドイッチを噛み千切りながら、草原を進んでいく。

そこでふと考える。ストレージの中の時間の経過速度はどうなっているんだろう。ストレージを開き調べてみる。




端的にいうと、時間の進行速度は設定することが出来た。

時間を止めて物の状態固定をできたり、時間の進行速度を自由に設定できたりするらしい。

デフォルトでは時間の進行は止まっており、すでにストレージに入っていたものは状態が固定されていた。状態固定ということは食料をずっと入れたままでも腐らないから、アツアツの料理をストレージに入れておけば、いつでもできたての料理が食べれるということだ。できたてジ◯パンじゃ!

新たなメニューの機能の発見に喜びながら、まだ知らない色々な機能があるんだろうな、今度時間があったらじっくり調べようと心のメモに記しておく。



昼食を食べ終わり、ゴミを高温の火魔法で灰も残さず焼却処理する。何もせずに歩くだけでは暇なので落ちている石を収納していき、収納した石を取り出し投げることで投擲術スキルのレベルアップを促しながら森を目指して進む。




しばらくすると森が見えてきた。近づくにつれ森のようすが詳細にわかってきた。この森はさっきの森とは違い、木々の間隔が狭く木々の間からはあまり陽の光が差し込んでおらず薄暗い。地に生えている草木も鬱蒼と生い茂っていて、戦闘をするにも魔法を使うと周囲に甚大な被害が出そうだ。火魔法なんか使ったら一瞬で燃え広がりそうだ。



森の入り口に到着したところでマップを確認する。マップを広域化して見える範囲を少し広げるとマップの端に進行方向と同じ方向に伸びた街道を確認した。直線距離を進まずに街道を道なりに進んでいれば、この街道に繋がっていたのだ。まあ、直線距離を突っ切ってきたからこんなに早く森に着くことができたのだが……。


マップを元に戻し、森の中に入っていく。

この森ではレベル上げのため、あえて気配を消さずに気配を振りまくことで魔物を呼び寄せ、積極的に戦闘していくことにする。

レベルも上がりスキルも増えたから、そんじょそこらの魔物には負けない自信がある。慢心はいけないが強くなるためには経験が必要なのだ。


少しするとマップの前方に赤い光点を5つ確認した。詳細を見てみるとゴブリンだったのだが、さっきの森のゴブリンとは違い5体の平均レベルが11だったのだ。もちろんそれに応じてステータスやスキルレベルも高くなる。

ちょうど進行方向なので近づいていくと索敵スキルにも反応があった。ゴブリンの内の1体も索敵スキルLv2を持っていて、こちらの存在に気付いていることが気配察知スキルによってわかる。

索敵スキルは半径100メートル先までの敵意を持った者の存在を感知することができる。これは俺の保有する索敵スキルのレベルが低いから100メートルまでしかわからないがレベルに比例して精度も索敵範囲も上昇する。相手がこちらの索敵系のスキルのスキルレベルより高い隠密系のスキルを持っていた場合は感知することができない。逆もまた然りだ。

マップは通常時、自身を中心とした半径1キロメートルの範囲を表示している。必要に応じてマップを広域化したり、スクロールすることで索敵などをしている。

まあ、常にマップを見ているわけじゃないので常時索敵スキルと気配察知スキルを使って奇襲を受けないように警戒しているが……



遠目スキルを使い、100メートル先にいるゴブリン5体がはっきり見える。ストレージから取り出したゴブリンが持っていた短剣ーーーストレージの補完機能で新品同前になった短剣ーーーを先頭を走っているゴブリンの頭目掛けて投擲した。ここの森に来るまでにレベル3に上がった投擲術スキルの補正のかかった動きによって勢いよく、それでいて鋭く飛んでいった短剣は、狙い通り先頭を走っていたゴブリンの右眼に深く突き刺さった。

俺は立て続けに残り4体のゴブリン全員に短剣を投擲した。その投擲で2体は倒れたが、残りの2体はそれぞれ短剣で弾いたり、ギリギリ避けることで難を逃れたらしい。

残った2体のゴブリンは倒れた仲間には目もくれず、だんだん聞き慣れ始めた醜い叫び声をあげながら、こちら一心不乱に走ってくる。

俺は縮地スキルを使い距離を一気に詰め、前を走っていたゴブリンに斬りかかった。ゴブリンは急に目の前に現れた敵に対応できず、袈裟懸けに斬り伏せられた。そのまま隣にいる何が起きたのかわかっていない最後のゴブリンを返す剣で斬り戦闘は終わった。



「ふぃ~、やっぱ西洋剣だと叩き斬ることを目的にしてるから扱いづらいな。異世界に刀があるわけないし、最悪自分で作るしかないか」



王都の武器屋には刀は置いてなく、西洋剣のような両刃の剣やサーベル、レイピアなどしか置いてなかったのだ。

まあ、このことは今度考えるか。


意識を切り替え、ゴブリンの死体を収納してアキータの街を目指して森の中を進んでいく。






それから数度の魔物との戦闘をこなしながら森を進んだところでだいぶ街道に近づいてきた。



「アキータの街に向けてまっすぐ進んできたから、街道が近づいてきたということはもう街道を道なりに進めばいいだろう」


俺は森の中を突っ切る形で通っている街道に出た。




そこから街道に出てくる魔物を倒しながら、街道を道なりに進んでいるとマップ上で街道の先に赤い光点が映った。魔物かと思い、遠目スキルを使って街道の先を見てみると何やら馬車を複数人が囲んでいて、倒れている人もいる。様子がおかしい。

マップをスクロールして見てみると、馬車を中心に緑色の光点が1つと灰色がかった緑色の光点2つあり、それらを囲うように赤色の光点が4つ、灰色がかった赤色の光点が1つ表示されていた。詳細を調べてみるとどうやら灰色がかった光点は死者を表すらしい。ステータスを見た結果、商人の馬車が盗賊に襲われたらしく、死んだのは商人とその護衛のうちの1人と盗賊が1人のようだ。護衛のうち1人は辛うじてHPが残っている程度でもう助からないだろう。


「どうするか……盗賊なら殺しても問題はないだろうが…。考えても仕方ない、得るものもあるかもしれないしな」


俺は街道から逸れ森の中を気配を殺し、無魔法の身体強化魔法をかけ現場に急行した。





現場の近くの木の上に身を潜ませ様子を窺うと馬車に繋がれている馬は2匹いたようだが、片方はすでに死んでいて、もう一方は無事なようだ。それ以外は、マップで見た通りの状況だった。



「クソッ!!ポールの奴、簡単にやられやがって!!」


「俺はあいつは新人だし、臆病な奴だったからすぐ死ぬと思ってたけどな」


「早く終わらせちまおうぜぇ」


「おい、こいつまだ生きてやがんぜ」



盗賊男4人は仲間の死をいたわることもせず、まだ息のある冒険者に短剣で心臓を刺し、とどめを刺した。



「……どうやら殺してもいいようだな」


俺は剣を抜き、身体強化をして木の上から盗賊目掛けて飛び出した。

飛び出したときの勢いのまま首筋に横薙ぎを放った。肉と骨を断ち斬る不快な感覚を残し、男の頭は胴体と永遠の別れを告げ宙を舞った。突然の出来事に固まったまま動けないでいる盗賊の一人に縮地で近づきそのまま切り伏せると同時にその後ろにいたやつに風魔法のウィンドカッターを無詠唱で放つ。不可視の真空刃に斬られ血潮を撒き散らしながら倒れた。

残りの1人を見ると腰を抜かしてズボンの股間の部分を濡らし、異臭を放っていた。

俺は無言で男に剣を抜身のままゆっくり近寄っていく。



「ひぃぃぃぃぃぃ、た、頼む殺さないでくれぇぇぇええ!!!」



男は泣き喚きながら、座った状態で器用に後退り、木に背中を預けた。


「安心しろ、殺しはしない」


俺はそう告げた後、徐に男の太股に剣を突き刺し地面に縫いとめた。


「ッッ!!!?」


男は声にならない叫び声をあげた。


「質問に答えろ。お前らのアジトはどこにある?何人いる?」


「……はぁはぁ、み、南に…森をとおって南に行ったところの洞窟だ!」


マップで南を調べてみるがそれらしいものはない。

俺は男の人差指を捩じり折った。


「嘘はよくない。次はないぞ」


「あ”あ”あ”ぁぁぁああ”あ”!!!わ、わかった言うから!!き、北にいったとこにある洞窟だ!!!11人いるはずだ!」


マップで確認してみると男の言う通り、北に洞窟がありそこにしっかり11人いた。

俺は男の太股に刺さっている剣を無造作に引き抜き、そのまま男の首を刎ねた。



初めて殺人を犯したがあまり罪悪感は感じなかった。だが、やはり生の人の死体は刺激が強く、少し気分が悪くなったが時間の経過とともにそれも収まった。


「わかってはいたが、俺って冷めた人間だな。とりあえず、街道のど真ん中にこんなのあったら邪魔だろう」


街道に散らばった死体や馬車の残骸とその中身を収納していった。


「んで、こいつどうするか。」


馬車に繋がれていた馬の生きていたほうだ。

馬の頭を撫でながら考えていると……




ポーン

<スキル調教(テイム)を取得しました>





「……………とりあえずここに繋いどいて後で迎えに来ればいいか。ここでおとなしく待っててくれ」




盗賊のアジトから帰ってくるまでここで待たせておくことにした。しかし、街道とはいっても魔物がでるようなとこに放置しとくと食われそうだな。結界でも張ってみるか。


結界といえば光魔法だ。できるだけ持続時間が長くなるように…


「フォースバリア!」


適当につけた魔法名を唱えると、馬を囲うように白く透明な半球体状の壁が出現した。どうやら成功したようだ。

その作業が終わると早々に盗賊のアジトがある場所に向かった。









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