第1話 異世界転移
初投稿作品でよろしくお願いします。
書き直すかもしれません。
その日はなんらいつもと変わらぬ日常だった。高校2年のもう少しで夏休みという蒸し暑い晴天の中、俺こと刀堂 仁はイヤフォンで音楽を聴き、汗をかき、この暑さに辟易しながら、自転車をこいでいた。
「暑い…なんだこの暑さ……。地球温暖化しすぎだろ……」
自分と同じ方向に向けて自転車をこぐ女子高校生を横目に見ながら、小さな声で悪態をついた。
俺は隣町にあるそれなりに偏差値の高い進学校に通っている。家から自転車で30分という位置にある学校に登校している最中だ。
午前8時20分すぎ、自転車通学の学生の群の中に紛れ、ようやく学校にたどり着いた。自転車を駐輪場に置き、教室へ向かう。教室に入ると生徒達による喧騒が俺を出迎えた。
朝っぱらから元気な奴らだな。と嘲りの言葉を心の中で呟きながら、俺は教室の窓際の一番後ろの自分の席に座った。
「よう、仁」
そう声をかけてきたのは、どこにでもいそうな顔をした男、田中 明だった。
「おう、田中か」
田中とは特に仲が悪いわけでも無く、それといって仲が良いわけでもなかった。席が斜め前というだけであって、それ以降の会話もなくチャイムがなり、朝のホームルームが始まった。
教卓に担任の先生がいて、何やら話をしているが俺はそんなのそっちのけでずっとスマホを弄っていた。学校では常にこんな感じだ。無難にこなし、無難に終わる。暇な時はスマホを弄るか読書をするか。別にボッチというわけではない。友達もいるが上辺だけの付き合いで深く仲良くなろうとは思わなかった。人と会話をするのは疲れるし、だったらあまり関わらないでスマホや読書をしていたほうが楽という理由だ。という今も俺はスマホを弄り、ネット小説を漁っていた。
あらかた面白そうなのは全部みたんだよなあ……今季のアニメのチェックでもするか。
いわゆる俺はオタクだった。
最近ではネット小説の異世界ものにハマり、その類いの物を片っ端から読み漁っている。俺は現実逃避も兼ねてファンタジーな異世界ものを好んで読んでいる。
だが、なぜあのテンプレ主人公達は自ら厄介ごとに首を突っ込むのか、それだけが俺には理解出来なかった。もっと無難にそれでいて面白く幸福な選択も出来たはずなのに。俺ならもっとうまくやるな。
ああ~俺も異世界行きたい。ハーレムが合法の異世界に行きたい。チーレムしたい。
そもそもこの世の中は腐っている。ネトリとかネトラレだとか、浮気とか不倫だとか、小銭を稼ぐためにおじさんと…だとか。この世にはビッチしかいないのか。俺はもはや人間不信だ。もう来世に期待するしかない。
そんな何回目かわからない絶望に打ちひしがれているとホームルームが終わったようだ。
ホームルームが終わり、教卓で担任の先生と数人の女子生徒が話している中、いつものそれは唐突にそれでいて秘密裏に行われた。
一番後ろの俺の席のすぐ側で3人の男子生徒が1人の男子生徒を囲んでいた。いじめだ。
また始まったようだ。まったくやるにしても俺の席の近くでやらないでもっと遠くでやってほしい。
「おら、臭えんだよ」
そう言いながら囲まれている男子生徒を蹴ったのは、金色にくすんだ茶髪を伸ばした男、佐久間 蓮(さくまれん)。臭いなら近づかなければいいのに。
「ぎゃははは!鈴木ぃ、お前ズボン脱げよぉ」
下品な笑い方をしながら、鈴木と呼んだ男子生徒のズボンを強引に脱がそうとしている茶髪の男は、佐伯 拓人。小物臭がハンパないし、それにズボン脱げとかホモなのか?
「ふふっ、お前らその辺にしとけって。なあ鈴木ぃ、後でちょっとツラ貸せよ」
佐久間と佐伯を嗜めながら、鈴木と呼ばれた男子生徒に肩を組むのは、金髪を肩まで伸ばした男、|佐藤 和樹(さとうかずき)だ。
こいつら3人が囲んでいた側であり、学校では素行が悪いことで有名な不良三人組だ。
「………」
佐藤に肩を組まれたまま、俯いて黙りこくっている男が鈴木 一郎。こいつは、太っていていかにも不潔でオタクということで不良三人組に虐められており、クラス全体でも不良三人組程ではないが虐められていた。
だが、それを良しとしない奴らがいた。
「佐藤!またやっているのか、そういうことはやめろ」
そう声をあげて、佐藤の前に立ったのは運動神経抜群、頭脳明晰、それでいてイケメンときた学校でも一、二を争うイケメンと噂されているらしい金髪をした男、光道 隼人だ。その後ろから男子生徒1人と女子生徒2人がやってきた。
黒髪を短く刈り上げた筋肉質の男が立花 正樹。茶髪で快活そうな顔をした美少女が青木 晴。そして、鈴木に駆け寄って心配そうにしている黒髪を長く伸ばした巨にゅ…じゃなかった、どこかおどおどした美少女が天風 薫だ。この4人は常に一緒に居るわけではないがいじめの現場には必ずこの4人が駆けつける。っといっても、光道に立花が、天風に
青木が付き添う形でいじめの現場に急行するのだ。まさにヒーロー()だ。
「鈴木君、大丈夫?」
「………」
天風が鈴木に声をかけるが、鈴木は天風の胸をいやらしい目で見たまま何も答えない。
「あんた薫のどこ見てるのよ!」
青木がそう言いながら天風を抱き寄せ鈴木から遠ざける。天風は困った顔をしながらも嫌悪感を露わにしている。
「んだよ光道、てめえには関係ねえだろ!ヒーローごっこのつもりか?見てみろ、天風さんにこんなことするような奴のこと庇うのか?あぁん!?」
「…………それでもそこまでする必要はないだろ。……それと鈴木、そういうことはもうやめろ………」
佐藤と光道が口論を始め、その声量で周囲の奴らもまたか、と気付き始めた。そしてそれには勿論先生も気付き、何事かと声をかけようとした時にそれは起こった。
「うわっ!!?なんだっ!!!?」
「きゃっ!?」
突然、教室全体の床を覆うように光が放たれた。よく見るとそれはゲームやアニメでよく見る魔法陣のようであり、クラスメイト達は口々に戸惑いや恐怖、驚愕の声を出した。
ッ!!?これは魔法陣?異世界転移?テンプレなのか!?
スマホを弄りながら、いじめの現場を横目に見ていた俺は突然の光に目を向け、驚愕から徐々に歓喜していった。
そのまま俺たちはその光に飲まれていき、俺は意識を失った。
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