回想
連載小説は初投稿です。読んで頂ければ嬉しいです。
海賊。古くはガリリアやカルティーゴ、アエギューの時代より存在する職業。町を略奪して、殺人や誘拐をする。美少年や見目麗しい女はエイミーヤやサーターヌに献上したり、バザールで奴隷として売り飛ばす。他の男は船の漕ぎ手として安く売買され、女は技能があれば高く、無能なら二束三文で貧民の為の売春宿に売る。
私もかつてはそのような海賊であった。
私の名前はマグレニアではザイヤードであったし、此処、海の都アローシアを含むイウロペではアフラメニアから来た、と言う意味のアフラメニウスと呼ばれている。正式には、ガルド・アフラメニヌスと言う。
私は今、私自身の回想録を書こうと紙を広げて筆にインクをつけている。最初に何を書こうか。そんな事を考えながら窓から外を見ると、賑やかなアローシアの町が見える。香辛料や魚、真珠や絨毯に果物を売る声が耳朶を打つ。その先には船が何百隻もあり、人とカモメが沢山行きかう港と広大な海がある。すこし顔を上げれば青く澄んだ空がある。この町の家や建物は石造りでガリリア様式の建物が多いので、古代都市の雰囲気もある。
多人種の町でもあり、白い肌の北方人、浅黒いガリリア人にターバンの同朋のマグレニア人、豪奢なアエギュー人、エシアの黄色い肌の人、ターキーの遊牧民、碧の瞳のカド人、教条の神の庇護の民のカナエ人、主な人種だけでもこれだけいる。
私が最初の訪れた時はガリリア人だけの狂気の愛の町だったのだが。
美しく熱気に溢れた町を見ながら思い出そう。マグレニアの海を、砂漠の国々を、遊牧民の暮らしを壮大なサンユリアを、ガリリアの神殿を、アエギューの大河を、ドグマの町を、そして海都の今日までを。去って行き敵対した友の事を。転生者の事を。
さぁ記そう。私の旅路を。
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