~レベル6~Suikun18歳~
正直同じ中学の女の子と付き合ったことはあるが、カップルらしいことをしたことが無かった。
男子校に言って、周りの男子は背が伸びる中、俺だけ171センチ。結構コンプレックスだった。
美紗緒は正直同じくらいの身長か少し俺より低かった。
その時の俺は、美人に手を握られたというよくわからない高揚感と、この女は絶対に危険だという気持ちが混ざって
何も正しいことが判断できなかったんだと思う。だから、言われた通り、週に2,3回、廃棄する食品で美紗緒の要望があったものを
持って帰り、近くの公園で渡していた。ぶっちゃけ今でもそれが何に使われたのかは知らない。
何も聞かない、いや、聞けない俺を、美紗緒は都合の良い人形とでも思っていたんじゃないかと思う。
たまに、美紗緒は欲望のままに動いてた。いきなり俺の首元を噛んだり、俺の胸に頭をうずめたりしてた。
怖くて、自分たちの関係も聞けなかったし、美紗緒が何をしているのかも、よくわからなかった。
ただ、前よりも美紗緒は痩せたと思ったし、情緒不安定で儚い感じを受けてた。
電話はいきなりかかってくるが、メールがくることはなかった。
少しでも、何かに誘おうとしたり、何かを言おうとすると
美紗緒「うるさいうるさい。いいじゃん、今一緒にいてるやんか~?」と甘えた声で言ってくる。
それ以上は何もできなかった。失うことが怖かった。
俺に落ち度はなかったと思う。
美紗緒は、いきなり、キレた。
それが本当つい先週くらいの高3の夏前だった。
俺は翠だ。
その時、美紗緒は、俺を「ケイ」と呼んでいた。
「ケイがちゃんとしてくれないからじゃん」「ケイが私をこうさせたんでしょ」
多分もともと付き合ってたんだろうな。そんで、大したことない男なんだろうな。
その大した男以下の俺って、、、てゆうか俺なんなんだよ、
ぐるぐるしてた俺に、美紗緒は正気に戻って言った。
「あんた中学の時に付き合ってた女、私のこと悪く言ったんだよね。その腹いせやねん」
そして美紗緒は可愛い笑顔で笑って言った
「ごめんね、本当謝ってもかわらへんけど、、、、ごめん。ちょっかい出して」
謝る気持ちなんて、ないんやろうなって思う。
彼女は自分がかわいくて、むかつく女の男に特に本当に何も考えず、ちょっかいを出したんだろうなと思った。
俺のこの気持ちはどこへ行くの。てか女って怖い。何でそんなことが出来るかわからない。
万引きするような女だと思ったけど、なんか、この綺麗な女に惹かれた俺もどうなのってよくわからない。
だから、
なんか、色々やる気出ない。でもやっぱり美紗緒が俺の中で一番綺麗だった。
そんなこと考えてたら、見上げてた空に飛行機雲が出来た。
後から知ったけど、美紗緒はカナダに留学に行ったらしい。
何も言われなかった俺。聞けなかった俺。夢だったのかなとも思うし、
もうあの女性に出会いたくない。
ケイは地元のヤンキーらしいから。でも俺は美紗緒が好きだった。
そして、
あっという間に冬になって、コンビニでのバイトをやめ、卒業を待つだけの俺になった。
コンビニで働きまくった俺は、ある程度お金を貯めて、親にやった。
専門学校にいくのも実家からだし、聞く限り忙しいらしくバイトもしなさそうだから。
1月はヒマすぎて「モンハン」をDSでやっていたが、携帯でもネット回線の繋がるゲームをやってみたいなと思い、
友人のヤマタイと見つけた「ドラゴン」というアプリを2人で始めてみた。
スグにスカウトをしてくれた人はソーダという名前だった。
ソーダさんはなんか淡々としてて、ソシャゲーだけど、その雰囲気が俺は好きだった。
ソーダさんのチームにはHANA・伊吹・hiro・優・ZUTAというメインメンバーがいて、入れ替わりはあるし、
ぶっちゃけテンション高い奴いるし、ヤンキーぽい女もいるし、馴染めるかなと思ったときもあったけど、
Suikunは何してるの?Suikun京都はあめー?とか聞いてくる皆が結構好きだった。
あるときはみんなで一斉に(月)9のドラマ見てさ、掲示板は大荒れ。
HANA「そいやっさーそいやっさ」
優「しょーしゅーりっきー!」
伊吹「暴力振るう男さいてー」
CMをただ打ったり、ドラマの感想を自由に言う皆が、俺にとっての居場所だった。
卒業式は2月末だった。
みんなおめでとうって言ってくれた。専門学校に行くからインが減るって言ったときに、
「だからなに?変わらんでしょ」っていう皆がいて俺は嬉しかった。
やってる人にしかわからない話かもしれないけど、
ごたごたも色々あった。
あんまり好きじゃないけど。
でも素直な女の子がいるんだよね。
いや、欲望に忠実なだけなんだろうか。
女はやっぱり怖いんだけど、
その子には会ってみたいなと思う。