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ドラハウス☆  作者: 希望
3/10

~レベル3~HANA25歳~

「なにこれ全然わかんないや。」

正直それがHANAのこのゲームに対する最初の感想だった。

しばらくすると、アプリの中の、皆に公開されている語り場のようなところに、「このIDを入力してほしい、そして一緒に頑張ろう!」といった内容の書き込みが相次いでいた。ゲームに詳しくないHANAでも、「きっとこのIDをいれるとメリットがあるのね」ということは分かった。

複数人の書き込みがあった中で、HANAは、アバターが可愛らしい女性のnanacoという女性に「これってどこに入力すればいいんですか?」と軽く返信をした。それが、nanacoとHANAの出会いだった。


nanacoは詳しくどんなメリットがあるか、何をするゲームなのか、具体的にはどうすればよいかを教えてくれた。HANAはnanacoの性別を聞かなかったが、甘えん坊なその性格や顔文字の使いこなし方から、女性同士と認識していた。

そして、何も知られていない状況でお喋りが出来ることを非常に嬉しく感じていた。


nanacoのチームで試合にでるということを体感したり、言われた通りに動いたり、こうすればよいのかということを覚え、提案していった。HANAは、か弱そうなnanacoを支えたいと思ったし、ゲームの中にいる時はいきいきとコミュニケーションをとれる自分が好きだった。

1週間程度して、神楽という女性やブラックという男性が仲間入りし、何気ない「おやすみ」や

「仕事お疲れ様」という会話が、HANAにとってリアルを頑張る原動力となっていた。

しかし12月の半ば、小学生だというみーちゃんが仲間に加わった。


みーちゃんは「今日は両親に500円もらったのでタイヤキを買いました」とか

「みんなはポケモンしてないでしか?」と誤字もありながらみんなと絡んでいたが、

HANAはそれがとても不気味に感じていた。

小学生もいる中で、大人の愚痴をこぼしていいんだろうか、とか、この子の親はもっとこの子を見てあげるべきじゃないか、とか・・・自分の価値観で色々気をつかってしまうのがいやだった。


あるときは「野良猫に自分のご飯をあげたのでおなかがすいている」等といっているみーちゃんに

HANAはなんと言葉をかければよいかわからなかった。

温かい和を少し感じただけに、小学生がいることを気をつかうチームにいることが嫌だと思い始めていた。


そんなときnanacoがついてきてくれる人だけついてきて!私このチームやめるから!

と団長を放棄し、去って行った。nanacoの負担を減らせるようにと動いてきたHANAはショックを受けた。

と同時に、小学生プレイヤーと一緒じゃなくなるチャンスだともスグに思い、

神楽やブラックは好きだったが、私も他も見ていつか戻りたいということを言い残し、

気になっていたチームの団長に語り掛け、仲間に入れてもらうこととなった。


そこで大切な仲間と出会うことになるのだが、

最初にであったnanacoは、いつの間にかゲームを辞めていた。

みーちゃんも、「除名」という制度がどこのチームでも適用されてしまったようで、

行き場所をなくしてゲームから去って行った。


HANAは切ない気持ちを持ちながら、

自分の思う、「勝手なことをする人」が去っていくこのゲームは

恐ろしいかな理想郷なのではないかとも思っていた。


のちにHANAは大きな渦に様々な人を巻き込むことになるのだが、

それはこの時知る由もなかった。


ただ、チームが変わっても、皆が見ることが出来る語り場で、神楽とブラックに、

仕事の気遣いをしてもらったり、献立の相談をしてくれたりしたり、という付き合いは

HANAにとってとても温かいものであり、ゲームだったが、彼女・彼らに救われていたことは事実だった。


神楽と別々にチームになってから下記のやり取りがあった。

神楽「私リアルで入籍をすることになり、どらりーを引退しようと思ったの。

仲間をHANAさんに預けたいと迷っていたんだけれど、

チームの皆の支援もあって、やっぱり引退を辞めたの。やりやすい方法って創るものだよね。

真面目な話もできるHANAさんが大好きだよ。これからも宜しくね」


また、こんなやりとりもあった。

HANA「神楽たん、いまHANA凹んでるの。どうしたらいいかなあ」

神楽「凹んだらその分ばねにして素敵になれるよ!ゲームの合体技もそうジャン!最弱の攻撃の後に

合体した方が大きなポイントがとれるでしょ!HANAさんなら大丈夫☆」


なんだか、本質だとHANAは思っていた。

顔は知らなくとも、皆の支援があるから成り立っていることは多く、

楽しさややりやすさは、在るものではなく、創るものだなと。

そして、大きく凹むからこそ、次の幸せがより大きいことも、自然の法則だと。


ゲームだから大きく繋げすぎ?

いえそんなことは無いんです。


多分、吸収する姿勢があれば、何からも得ることが出来る。

このあとHANAは社会に出ながらゲームをやっていくこととなるが、


それは他の人のお話のあと。

まだまだレベルアップのあとである。


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