~レベル2~HANA25歳~
HANAの大学は東京だった。
社会人初としての勤務地は地元の九州に飛ばされて、2年間営業をした。大学ではミスキャンパスにも選ばれており、一般的に言う美人だったため、男性に対して、とても苦労をするタイプではなかった。
3年目の春に昇格で東京の企画部門に異動となり、上京したものの、9月には新しい業務にキャパオーバーを起こし、出勤がとても億劫になっていた。
いや、億劫になっていたというよりは、週に1度は有給を消化するようになっていたし、勤怠の連絡も後手後手となっていた。
そのころHANAは、長期的に物事をみることが苦手だったと共に、結果が出ない自分も認められなかった。どんどん人と会うこともおっくうになっていったし、どんどん人の目が気になるようになっていた。
ただ、社会復帰をするか、それとも休職をするか、そんなことばかり考えていた。
彼女の人柄としては、裕福な家庭に育ち品があるものの、両親や親族と物理的に距離があり孤独な人生を歩んできたため、認められるための見せ方・愛嬌・コミュニケーションは高く、人を信じることや自分の意思で一緒に何かすることは苦手な不器用な女性だった。お高い、というのはHANAにとても似合う言葉かもしれない。
沢山の男性経験はあったが、直近の恋愛が不倫だったということもあり、特に仕事でうまくいかないHANAはふさぎ込むようになっていた。
そして12月、「何も考えない方が良い!」と思ったHANAが、なんとなくアップルストアで検索して引っかかったのが「ドラゴン」だった。
彼女の人生は、大きく変わることになる。