ロンドンの老舗日系レストランの最終日
店長さんのリクエストにお応えして一本書いてみました。
とある店の最終日
ロンドンのメインストリートにある日系デパートにひっそりと存在するレストラン。
今日はそのデパートの二十五年の幕引きの一日である。
バブルのころに開業し、欧州他支店が閉店へと追い込まれる中も生き残るなかなかにすごい店舗である。
私もロンドンへ来た当初からかれこれ8年ほど、
あのころはちょうどレストランもがバー部門を開業ししたころであり
£1=¥245の時代である。
あのころは4000万円ほどだった私の家の周りの物件も一度値下がりしたものの今では1億の大台に乗っている。治安は最初と比べるとだいぶ悪化してしまったが未だになかなかいいちくである。
それはさておき今日はこのレストランの話をしよう。
私が最初に常連さんになりだしたころは店員がまったくお客さんが呼んでいるのに気付かなかったり最初の料理が出るまでに40分など普通のであったものである。
こうやって思い出しているだけでも懐かしい。
数か月ほどたったころフロアチーフの人としりあった。
そしてまた少々たったころに店長さんとも知り合ったんだ。
その店長さんとは今では親友となっている。
感慨深いものである。
思えばその頃であっただろうか
フロアの問題点などを指摘してみたのである。
するとちょっとずつフロアの運営も改善されていった。
その途中でまた何人ものフロアスタッフと仲良くなり
またある者は去って行った。
各々にも事情があるのだから難しいところである。
そして今では最初の料理は供応範囲の時間で提供されるし
外部機関からの高評価を得られたのも私的にも誇りである。
今回は移転する予定なのだが、移転先のテナントの決定が間に合わず
名残惜しみながらの一時閉店である。
個人的はバーだけでも営業継続してほしいものである。
私がお酒を初めて飲んだのもここであるし、
私が惚れ込んだ沖縄県産泡盛で瑞泉酒造の物を飲めるのはここだけなもだから。
最終日当日の客入りは皮肉なことに昨今の最高動員に達しつつある。
ロンドンでも最古参の一人のレストランの一時閉店である。
また金融街につ近い店の立地もあるのだろう。
今週は毎晩来店しているのだが店長さんなどに挨拶していくお客様方はすでに100は超えただろう。いつもはのんびりしているが常連さんやご贔屓さんは多いのである。
入れ替わりで立ち代り皆が皆ありがとう・またと言って帰っていく。
そして比例するかのように花束や贈り物も私の正面に積みあがっていくのである。
これぞ老舗の実力の一端といえるのではないか?
こうやってここで述べている間にラストオーダーも過ぎレストランフロアは閉幕である。ここからはバーの時間だ。
今日は何時まで空いているか。
その時間が長いほどこのレストランとバーへの思い入りと止まり木としての役割が
どれだけロンドンで働く日本人の支えの一端であるか分かるものである。
本当に本日で一時閉店かと思うと残念です。
早期の新装開店を願うばかりです。