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夢であって欲しいものである


寝てからどれほど経っているのだろうか

意識がはっきりして、目覚めの時が近づいている事を予感していた。


まさかあのドラゴンにああされるとは頭に無かった…

夢とはいえドラゴンとするのはちょっと印象はよろしくないな…


まあなんにせよこれで夢オチ確定だ。

夢から醒めたと思ったらまだ夢を見ていたという事実にはびっくりしたが

そんなことはもはやどうでもいい

俺のは住むべき場所とやるべき仕事が待っているんだ


今度こそ!一日頑張りましょう!!



絶対に自分の部屋にいる。

余裕をかましながらそっと目を開けてみると天井が見えたので

一瞬俺は賭けに勝ったものだと思った。


…のだがおかしかった。

自分の部屋の天井について言及しておくと白の壁紙みたいなのが張られている

しかし、今目の前にあるのは木目調の天井である。

他にもおかしい点は俺がなんだが狭い場所に詰め込まれていること。

それとおそらく電車が線路の継ぎ目を通過するときの音がするというのも不自然だ。




そして、何より…視界に細長い顔が映っていた時点で俺は賭けに負けた事実を知ってしまった。





(おいおい嘘だろ嘘だろ!あの忌々しい顔が映ってやがる!)




なんてこった。

これは俺の話のネタに成り得ただろうカオスな夢では無いのか。

現実的にありえないことばっかりで俺にはこれが現実であるだなんて

信じられない。


俺は現実逃避という非常に情けない事をやっていたのか…

いやいや俺を含めた普通の一般人であればこんなの夢だと思うって

これは現実逃避の内に入らないって!

ね!そうでしょ…


…ホント誰か夢だって言ってくださいよ

夢じゃなきゃ俺心折れますって

頼みますから夢であってください!


んなこと言っても何も変わらないよね

こんなとこにいるという現実も

賭けに負けてしまったという現実も

車で事故っておそらく死んだであろう現実も


極め付きはこんなドラゴンの姿でいるという現実




あの洗練されている元の生活に戻りたい…

なんでこのドラゴンの姿で過ごさなきゃいけないんですか

せめてへんてこりんな世界に行くことにしたって人間のままにしてくださいよ


叶わない願いをぶちまげてもしょうがないから体動かそう

確か俺、フェルディとかってドラゴンに眠らされてたんだよな…






ちょっと待て!そんな事されたって事は俺捕らえられたってこと?

冗談じゃない!俺が何をしたっていうんだよ!!

くそ、あの野郎に文句の一つでもいってやらねぇと

さっさとこんな狭いところから抜け出して…


(むっ!)


なんだこれ体が動かない…

縄みたいなもので体の自由を奪われている感覚が…拘束されてるのか!

ますます頭にきた!

さっさとこんなもの外して…


「…へっ?」


俺の体の自由を奪っている正体を見ようと首を動かし

白い体を確認しようとした自分の視界に映っていたのは本来縛るであろう物の他に

不自然なものであった…


(えっ何これ…このリボンとかに使うやつ…こんなもの巻かれちゃってるのオレ…)


そう俺に巻かれていたのはドラゴンの姿になった俺を縛るのに相応しいベルト風の

縄みたいなものと縛るのにもとても不似合なリボンなど女物の物が体のいたるところに

巻かれていたんだ。


人間の頃よりも随分と大きく発達した太もも、真っ白く柔らかそうな腹部

力加減をしないといろんな物壊してしまいそうな腕

後確認は出来ないが感覚を研ぎ澄ましてみると米神?から突き出ている耳にも

それらしき物が巻かれている感覚がある。


見れば見るほど惨めに思えてくる

普通のドラゴンの状態でさえ今まで人間で服を着ていたので言ってしまえば

全裸でいるような感覚でとんでもない違和感と羞恥心を覚えていたんだ。


それがこれだ

なんだこれ…これを人間のときに置き換えると…


…あぁ~!駄目だ駄目だ!!

想像したら負けだこれ!

これでは腐女子の妹がよだれ垂らしてみてる素敵な薄い本みたいじゃないか!!


あっ腐女子が何かはGoogleとかで調べちゃってください、はい

多分皆さん知っていると思いますけど


何が面白くてこんな恥辱を受けなくちゃならんのだ…

本来でこういった辱めを受けた場合あれば真っ先に声を盛大に上げていたいのだが

こんな戦意喪失する姿にされてはどうにも声を上げる気も起きない


こんな姿にした奴はとんでもない変態だ

断言できる。こんな女物を体のあちこちにつけている時点で救いようがない。

こんな姿を見て興奮でもするのか?

理解できないし理解したくもないよ、てかっ理解できる人いろのか?


…大体誰がやったか想像できる



「くそ…誰かいるか!」


とにかく何かしら見張りがいるはずだ

俺を捕らえて何故こんなひ…げふんげふん拘束をしたのか

聞き出さないと怒りが支配しそうだ。




こんな世界にきて、いきなりドラゴンになって

元の世界に戻る方法は未だ見つからず…ってこれはほぼ絶たれた望みみたいなものだが…

そしてあのドラゴンに眠らされ、おそらくあいつにこんな格好を…


「声が聞こえるとおもったら目覚めてたんですか…おはようございます」


夢の世界に誘われる前に見たフェルディとかというドラゴンが何時の間にか

俺がぎりぎり入る事が出来る奴隷を運ぶような箱の上から俺を見つめていた。



こいつのせいで眠らされ、夢で俺に淡い期待を持たして

そしてこんな甘い香りがしそうな姿にされて…

なんか一つは完全な八つ当たりが混ざっているような気もするが気にしない気にしない


「いろいろ聞きたいことがある…まず一つは…何故眠らせたんだ?」


「あなたを連れて行かないといけない場所があるのですよ…

 フラトス族の同属は守らないといけないですしね…詳しくは後で話しますが」


「フラトス…?」


フラトス族の同属?また変な名前の固有名詞が出てきたな…


フェルディの話を聞いているとどうやら俺はフラトスとかという

種族に属するドラゴンという事になるのだろうか…

詳しくは後で話すと言っていた訳だしこれはあとで考えよう


「次。こんな風に縛る必要は無かったんじゃないか?」


「それはそうですが仮にあなたにいきなり連れて行かないといけない場所がある…なんていっても

 それを直ぐにYESと言いますか?時間も無かったので強引な方法で連れ出すしか無かったんですよ…」


「あぁなるほどね…こんな拘束されて怒ってないよって言うと嘘になるが

 急ぎの用って事かなら仕方が無いが…」


まあ、ホントはこんな理不尽なことされて不愉快な気分で頭は埋め尽くされている

でもそういう事情ならほんの少し分からなくはない

悪気があってやった訳では無いのは分かっている。

ただ俺が不愉快な気分にさせられるのには別の理由がある。


それが今、俺が一番聞きたいこと


「ただ縛るのまではまだいい、ただなぁ…これは何だ!?」


俺は唯一自由を保たれている首をを必死に動かして手に付いてある

女物のリボンに使うようなものを指した…


「あぁ、それは確か…」


「なんでこんな物使うんだぁ!?さっぱり理解出来ないんだがぁ!

 こんな女物を着けられる身にもなってみろ!!」


「…ゾクゾクするからに決まってるでしょ」


「へっ?」


思わず間抜けな声を発していた。

こいつ少しは声を詰まらせるかと思ったら…ほぼ即答しやがった…


「だってその白い体と翼…ただでさえ脳天にドストライクなのにその上

 蔑むような目でこっちを見ているのを見て、おもわずその高そうなプライドを粉々にしてやろうかと

 思ってしまいましてねぇ…」


いかん、こいつ予想以上の変態だ

なんだか自分の世界に入って語り出したぞ


「これほど私と似たような姿というのも…フラトス族の者はいくつも見てきましたがねぇ

 ますます私の熱が上がって…」


もう駄目だ

俺の予想斜め上をゆくとんでもドラゴンだこいつ

やっと二ヶ月もの間独り身で過ごして、初めてあったこの世界の住人が

よりによってこんな奴だったなんで…


俺はあの事故で一生分の運を使い果たしてしまったのか

あんまりだこんな展開…


どうしてこうなったのかなぁ…

なんでこんな所で縛られているのかなぁ…


「ふざけんなぁ!縛るのならせめて普通の物にしろよ!

 こんなの明らかに縛るものとして間違ってるし、だいたい似合わないだろ!!」


「似合わない?…勘違いもいいところですね」


「いや、勘違いって…」


「似合うかどうかの問題じゃないですよ…こういうのは」


いやいやとにかくこんな不似合な物を外してください

こっちとてこんな不味い格好を好きでやっている訳では…

んっ?


「!?」


「…どちらかといえばこういう表情を見てみたいという欲望が強いんですよ」


突然顔を近づけてフェルディはあられもない姿のドラゴン…もとい俺をまじまじと見ていた


ドラゴン特有の鋭い目つきが迫っていたという場面は眠らされ、

このような恥ずかしい姿になる前と同じことなのだが

不思議と恐ろしさを感じることは無かった


一瞬それ以外の感情で覆い尽くされていたような気もした


だがいくら思考してもそれがどのような物なのかは何にも思い浮かばなかった

考えれば考えるほど頭の中は混沌で埋め尽くされてしまう


そして結局また振り出しに戻っていた。


「こういう表情って…」


「そう…こういう慣れないことに戸惑い、恥ずかしながらももっとやってほ…」


「ね~よ!馬鹿たれ!!」


とりあえず今はこの破廉恥野郎を殴ってやりたい気分だ。

腕さえこいつの悪趣味な部分が詰まったある意味素敵な物で縛られていなければ

すぐにドラゴンになった太い腕から力強い右ストレートを繰り出すことが出来るのだが…

いやよく考えてみれば相手も同じドラゴンなのだからそんな事してもただ痛いぐらいで意味がないか…


「まあ、これだけでは足りないのですがねぇ…」


「…えっ」


今なんて言いました?

"これだけでは足りない?"十分妄想炸裂な姿しているんですけど

これ以上何を仕出かす気なんですか?


「そろそろ本題に入りましょう…あまりおおまっぴらに表に出せるものでは無いですが…」


おおまっぴらに表に出せないって…

こいつ何考えているのかホントに訳分からないぃ!?


「お、おい!急に体触るなよ!!」


俺に良く似たそのドラゴンがとんでもない発言をし、さほど時間に差を置かない間に

そのとんでもドラゴンがその手で俺のドラゴンの体を触っていた。

ただでさえこの体に少なからず嫌悪感があるというのにこんな事されたら溜まったもんではなかった。

変なとこ触ったような気もするし…

…どこかは言えない。


「そこまで声を荒げるとは…やはり多少は気になってしょうがないということですね」


「違う違う!あんたの気のせいだろ絶対!!」


明らかにさっきよりも目の輝きが増しているような気がする

いや、どちらかと厭らしい目をしているような気がする


こんな事実から考えられることってなんなんだ?

俺は体を縛られている。非常に悪趣味な物を巻かれているオマケつきだ

そして俺に有無も言わせず体を触ってきたという事も含めて…


どう考えてもBADEND直行ですよね


「もうここまで来たらあなたがどうなるか…分かりますよね…?」


「お、おい止めろ!本気で止めてくれぇ頼むからぁ!!」


まずい、いろんな意味で喪失の危機だ

どうすんだよこんな訳の分からない世界で俺の威厳というものはどうなるんだ

こんなとこでこんなとこで…


なんとか体を動かそうと思い必死に体を捻ったりする、

が悲しいかな、強く縛られている体には何も動きが無く

目の前のドラゴンからすれば滑稽な光景に見えたのだろうか薄ら笑いを浮かべていた

もうどうにも成らないのだろうか


「ふっふっふ…さぁ…お楽しみとい…アダッ」


今にも踏み込んではいけない領域に連れ込まれそうな自分にとって

目の前のドラゴンから聞こえた金属音は救いの音であった


「ま~たくだらないことしているんですかフェルディ様」


真っ黒な体色のドラゴンが俺の視界に映りこんだ

本当にこの時は彼にいくら感謝してもしきれないことか


「やっ…やめてくださいグラウ…いくらこういうのが

 嫌いだからといって鉄パイプで殴るのはどうかと…」


「私だけでなく大多数があなたがアレだと認識するはずですが?」


グラウ…このドラゴンのお蔭で未だに平和?に過ごせているといっても過言ではない無いはず…多分








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