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Cherry Memories   作者: らみ
1/1

プロローグ 「与えられた記憶」

これが初投稿になります。らみです。

どことなく暗め、シリアスめの学園ADVのような雰囲気を

醸し出していければいいなと思って自作しました…。


とにもかくにも初めてですので、何も…。

希少にも読んでいただいた方々、

至らない点、アドバイス等よろしくお願いします;

それでは、どうぞ。

      ~プロローグ~「与えられた記憶」




 ――――――――どうしてだ。

 どこで間違えたんだろう。

 まわりは際限なく透き通った白い空間。

 浮いているような、沈んでいるような。

 何からも干渉を受けない。

 そんな空間だ。

 

 頭の中も然り。

 記憶というべきものが全くない気がする。

 気がする、ということは「記憶が元々あった」という事だけは覚えているのだろうが。

 

 ない―――。まるで誰かから、何かから与えられたような記憶しか。

 基礎的な語彙や、知識だけが植えつけられているようで。

 一般に「思い出」とでも呼ぶべきものが一切備わってない気がする。

 自分の名前さえ教えられてはいないみたいだ。

 

 

 ただひとつ。

 特別に与えられてわかっていることがある。

 ――俺は、死んだ後で、ここにいる。

 それだけで。

 いつ、なぜ、どうやって死んだのか。

 生前の記憶は。

 

 ―――――――――――――――――――――――――――。

 

 それらがわからないことが苛立たしいというか。

 非常にいたたまれない。

 

 

 どうにも不可思議な気分だ。

 他でも、そうならない人などいないだろう。

 人は一生を終えれば、跡形もなく消えるものだと思っていた。

 まさか、生前の記憶だけ抜き取られて未だ存在しようとは。

 

 ―――生きているわけじゃないのに「存在」だなどと言えるのかもわからないが―――。

 

 とにかく、意識はある。思考力も。

 もし、今この瞬間、全ての生前の記憶が戻ったとして。

 だからって何になるんだろう。

 こんな誰も、何もない空間にいたところで。

 記憶なんていくら持ち合わせていようがいまいが何にもならない。

 そういう意味で最低限しか与えられていないのかもしれない。

 となると――。

 取るべき道は一つしかないことになる。

 


 なぜだか、わかる。

 次はこちらの記憶がなくなることも。

 またここに戻ってきてしまいそうなことも。

 それでもこうしなければいけないってことも。

 


 「さて、行くか――」

 

 嘆息まじりに小さく呟いた後、重くなる瞼をそのまま素直に閉じて。

 それまでの白い空間はいつしか闇に染まり―――。

 記憶が一つ一つ抜き取られるのを感じ、やがてそれさえも感じなくなって――。



 俺の全てが、深い闇に沈んでいった――――――――――。

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